第7章 血ぬられた迷宮
「法専寺ご住持 井村賢照さま。防衛大学教授五十嵐智絵先生と助手の鈴木直子さま。霊能者の原真砂子さま、南心霊調査会所長南麗明さま、所員の厚木秀雄さま、白石幸恵さま、福田三輪さま。そのオブザーバーで英国心霊調査協会のオリヴァー・デイヴィス博士」
最後の名前に誰もがザワつく。
オリヴァー・デイヴィス博士というと、ぼーさん達が何度も名前を出した凄い人だ。
「……うっそ。ほんとに?」
英国心霊調査協会、通称SPRの研究員であってPKとESPの両方の能力を持つ超能力者。
その業界ではとても有名な人に今回会えるなんて思ってもいなかった。
「ねねね。PKとか見せてもらえるかな」
「見てみたいよね。ね、ぼーさん」
麻衣と二人でぼーさんに話しかけてみるが、何故かぼーさんは反応がない。
デイヴィス博士を見ながらぼお……としている。
どうしたんだろう。
そう思ってぼーさんを突くと、『え、なに!?』と驚いたような反応を見せた。
「……まさか本家SPRがお出ましとはねえ」
「ナル、相変わらず無表情だねえ……。感激するかと思ってた。本家のSPRのお出ましだから」
「ナルが感激すると思ってんの、結衣は」
「……しないねぇ」
ナルは相変わらずの無表情である。
何を考えているのか分からないのはいつも通りで、少し何か反応すればいいのにと溜息を吐き出す。
「依頼主である先生のご意向で、皆様には調査の間ここに泊まり込んでいただきます。リタイアしてお帰りいただくぶんには構いませんが、それまでは出入りはご遠慮くださいますよう。それではよろしくお願いいたします」
大橋さんの言葉に、南さんという人は嬉しげにしながら語った。
「任せてください!デイヴィス博士がついておりますからね。なに最悪の場合でもアレックス・タウナス氏やユリ・ゲラー氏の協力をいただけることになっていますから!」
どうやら南心霊調査会というところは、その手の有名な人々と知り合いらしい。
凄いと思いながらも、なんだか胡散臭いような感じもする。
ナルが嫌いそうな人だな。
何となくではあるが、そう感じながらもあたし達は与えられた部屋、ベースになる場所へと向かった。
「すごいね、あの南さんて人。有名人の知り合いがいっぱいいるんだー」
「さいですね」