第6章 禁じられた遊び
ナルは無言のまま、あたしと麻衣の手首を強く掴むと歩き出した。
「いたっ!いたい、離してよ!」
「ナル!話ぐらい聞いてよ!」
ナルは勢いよく会議室の扉を開けると、珍しいぐらいに声を荒らげた。
「全員外に出ろ。リンの邪魔をするな!」
あたしと麻衣はナルに放り投げられるかのように会議室を押し出され、その後にぼーさんたちが続いて出てきた。
「───なんで!?なんで松山は助けて皆は見殺しにするの!?皆がどんなめにあっても平気なの!?」
麻衣が声を荒らげるが、ナルは冷たい表情で見ているだけ。
感情なんて全て捨ててしまったかのようにも見えて、その時のナルはあたしには残忍に見えてしまった。
「確かに何も知らないで呪詛に手を貸したかもしれない。松山を殺そうとしたかもしれない。でもそれじゃ、その皆を殺そうとしてるあんたはなによ!?」
ナルは何も言わなかった。
ただ無言で相変わらずの冷たい眼差しで麻衣を見下ろしてるだけ。
「───人殺し……!」
「……麻衣!?」
麻衣から飛び出した言葉に目を見開かせる。
「事件が解決できれば後はどうなってもいいんだね。誰が死のうと泣こうと……どうなったっていいんでしょ!?」
「麻衣、言いすぎ!!」
ぼーさんと二人で麻衣の動きをとめる。
このままだとナルに飛びついて、手を挙げてしまいそうなぐらいの勢いだった。
「もう、よせ。仕方ないんだ」
「仕方なくなんかない!」
「ぼーさん、結衣。麻衣を連れて行ってくれ」
「ああ」
「……恨むからね、ナル」
あたしは納得したわけじゃない。
生徒が何かあれば、きっとあたしはナルを恨むだろう。
だがあたしの言葉にナルは無言のまま背を向けて会議室へと入っていき、ぼーさんは麻衣を連れていく。
「やだってば!ナル!」
ぼーさんは麻衣を会議室から少し離れた階段へと連れていき、あたしは眉を寄せてそれについて行く。
目頭が熱くなっている。
何も出来ず、ナルの行動を止められずにそして止められるような力も持っていない自分が悔しかった。
呪詛をどうにか出来るような力もないことが悔しい。
「なんで、誰も二人をとめないの?」
「麻衣」
「ダメだよ!あんなことさせないで、やめさせて……」