第6章 禁じられた遊び
嫌な事を考えてしまう。
もしかしたら、ナル達は既に生徒たちに呪詛を返したのではないかと。
「……おい。体育館の中見てみろよ」
ぼーさんに声を掛けられ、言われるがまま体育館の下にある小さな窓から中を覗いた。
そこには生徒たちの足が見えているが、数が多い。
「全校朝礼みたいだな。このぶんじゃ呪詛返しはまだ済んでないだろ。会議室(ベース)にいってみよう」
不安を抱えたまま、会議室へと向かえば会議室には明かりがついていた。
誰かがいる……もしかしたらと思い、扉を開ければやはりナルとリンさんがいた。
ナルは煩わしそうにして、リンさんは机に向いて何かしているのが見えた。
(いつ、戻ってきたんだろ……)
あたし達より随分早くに来ていたのか、それともあたし達が帰った時に戻ってきたのか。
「何しに来た」
冷たい言葉が飛ぶ。
そんなナルを無視してリンさんの方を見れば、机には御札のようなものに蝋燭とお香を炊く時の入れ物のようなものが置かれていた。
彼らは本当に生徒に呪詛を返そうとしているのだ。
夢の中で見た、あの邪悪な鬼火を生徒たちに……安原さんに返そうとしている。
(止めたいけど……)
その時、横から麻衣が飛び出してリンさんの元に駆け寄った。
「───リンさん!」
「麻衣!?」
「麻衣!!」
「リンさん、やめて!お願い!」
慌てて麻衣に駆け寄ろうとすれば、それよりも先にナルが麻衣の手首を掴んでいた。
「まだそんな馬鹿な事を言ってるのか」
「馬鹿じゃない!誰も悪くない!みんな松山先生を呪い殺そうとしたわけじゃないのに!」
「邪魔だ、出ていけ」
「やだっ!みんないるんだよ、体育館に。なんにも知らないんでしょ!?自分たちに何が起こるのか!」
「……ナル、ホントに呪詛を生徒たちに返さなきゃいけないの!?」
あたしも思わず叫んでいた。
麻衣を止めなければ、正しくあろう、ナルが正しいのだから言うことを聞くべきかもしれない。
そう思っていたけれど、やはりこれは違うんじゃないかと思った。
「本当に生徒たちが悪いわけじゃないでしょ!?それなのに何も知らされずに呪詛を返されて、惨いことになるかもしれないなんて……知らないんでしょう!?酷いよ、ナル!」
あたしの言葉にナルは冷たい目を向ける。