第6章 禁じられた遊び
麻衣はあたしの横で座り込んでいる。
そんな麻衣をあたしは勢いよく平手打ちした。
「……馬鹿!!なんで、……一人で突っ走てるの!!麻衣やあたし程度の退魔法で、何とかなるわけないでしょ!」
「結衣の言う通りだ!おまえ程度の退魔法で……太刀打ちできる相手か……!……ヘタすりゃ死んでたかもしれないんだぞ、わかってるのか!?」
ぼーさんの強い叱責に麻衣は飛び上がる。
そして小さな謝罪の言葉が聞こえた。
「……ご……ごめ……」
「……もういいわよ。良かった、間に合って」
泣き出した麻衣を綾子が抱き締める。
「さいです。よかったです、麻衣さん」
取り敢えず無事で良かったと思っていると、あたしの頭をぼーさんが勢いよく叩いた。
「いだっ!?」
「おまえもおまえだ!一人で何とかしようとするな!」
「ご、ごめ……ん。でも、なんで印刷室にいるってわかったの?」
あたしは何となくで分かって来たが、ぼーさんはどうして印刷室にあたしと麻衣がいると気付いたのだろうか。
「カメラ。印刷室の前にカメラ設置してただろ」
その言葉であたしは『ああ……』と小さく言葉をこぼす。
印刷室には一応の為にカメラを設置していたのを、あたしはいまの今まで忘れていた。
「あれで麻衣が居るのに気付いて、んで次に結衣が現れたからな」
「……ごめんね」
「……いーよ。平気なら」
ぼーさんは短く息を吐き出してから、あたしの頭を撫でてから麻衣の頭も撫でる。
そしてあたしも麻衣の頭を撫でてあげた。
「……ごめんね、結衣」
「いいよ。あたしもごめんね、叩いて」
赤くなっている頬を撫でてから、あたしは小さく笑う。
取り敢えず麻衣が無事で良かった、家族を失わずに良かったと安堵した。
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ー翌朝ー
あたし達は一度家へと帰り、朝になってから緑陵高校へと来ていたが違和感を感じていた。
「……いやに静かね」
綾子の言う通り、学校はいやに静まり返っていた。
普段なら話し声の一つや二つ聞こえてくるのに、それさえないのだ。
「人の気配が感じられませんわね。誰もいないみたいな……」
「もうとっくに授業が始まってるはずなのに……」
「なんで人の声もしないんだろう……」