第6章 禁じられた遊び
いつの間にか寝てしまっていたのだ。
そして今は夢を見ていて、夢の中のナルは相変わらず優しい笑みを浮かべている。
「……じゃあ、誰かに退魔法を二人とも教えてもらうんだよ。それからあの鬼火のいる場所には近づかないこと。───いいね?」
あれは鬼火なんだ。
そう思っていると、視界が徐々に霞始めるのに気付いた。
目が覚めるんだ。
返事をしなきゃと思う前に、あたしはパチッと目が開いて眩しい光が目を刺した。
「うっ……」
「あれ、起きました?結衣さん」
「うっ、あああっ!?安原さん!?」
目の前で安原さんがあたしを覗き込んでいた。
それに思わず驚いて飛び起きてしまい、椅子から勢いよく立ち上がってしまう。
「よく寝てましたね。麻衣さんはまだ寝てますけど」
そう言われて隣を見ると、麻衣は未だに眠っている。
そして彼女は小さく唸ると小声で呟いた。
「……うん、わかった……」
寝言だ。
そう思っていると、安原さんが麻衣に声をかけた。
「なにが『わかった』んですか?」
安原さんの言葉で麻衣の目が開く。
そして目の前で先程と同じように麻衣の顔を覗き込んでいる安原さんを、麻衣は視界に入れてから叫んだ。
「あああ!?」
「二人とも、サボってると渋谷さんに言いつけちゃいますよー」
「あ、あははは……」
「さ……作業終わったんですか?」
「うん。頼まれた分は。コーヒーいれますね」
「えっ、あっ、あたしやりますよ!」
「安原さん帰ってきたばかりなんでしょ!?」
「いいですよ。弟子としてはこれぐらい」
にこやかに安原さんはコーヒーをいれてくれた。
彼はナルと同じでいい性格をしているが、こういう所はナルとは違うと思う。
(アイツは自分で進んでいれようとはしない……!)
なんなら『お前たちの仕事だろ』とあたしと麻衣に言う始末。
思い出しただけで腹が立つと思いながら、安原さんに手渡されたマグカップを受け取ってお礼を言った。
「……そういえば、この学校のコックリさんってかわってますよね」
「えっと……ヲリキリさまでしたっけ」
「そう。なんか色々決まりがあるみたいだね。一度使った紙は二度と使えないとか、使ったら神社で捨てなきゃならないとか」
「確かに変わってる……」