第6章 禁じられた遊び
「でしょ。あと呪文を唱えたり」
「「呪文?」」
コックリさんで呪文なんて唱えるっけ……とあたしはコーヒーを飲みながら首を傾げる。
「なんだっけ……『おーをりきってナントカ』って」
「えー?」
「変な呪文……」
コックリさんなんて『コックリさん、コックリさん、おいでませ』なんて言うぐらいだ。
それなのに呪文を唱えるなんて、やはりヲリキリさまは変わっている。
「けど、凄いですよね。学校中なんでこんなに流行ってるんだろ」
「してない人を数えた方が早いなんて、なかなかないですよね。流行りすぎてる……」
「流行の原因を分析できれば苦労は無い。なんてね。手順や紙とかが変わってるからじゃないですか。呪文もそうだし。目新しいものってまず、皆飛びつくでしょ」
前から思っていたが、安原さんはかなり落ち着いている。
慌ててるところを見たこともないし、基本的に落ち着いている雰囲気があった。
「……安原さんて冷静とゆーか……」
「変に落ち着いているとゆーか……」
「ははは。ぼく、若年寄って言われてるから。あだ名が越後屋っていうんだ。『人のいい爺さんみたいな顔して、何企んでるかわからない』って」
「「……なるほろ」」
ピッタリだなと思ってしまう。
安原さんって人の良さそうな笑みを浮かべているが、なんか腹黒そうというか。
「……きょうだね」
「え?」
「なにが?」
「十二日め。……また更衣室で火事がある」
その言葉に、先程見た夢をの内容を思い出した。
夢の中のナルが『鬼火』と呼んでいたものが、更衣室から放送室へと移動していたのを。
あたしと麻衣は顔を見合わせる。
それだけで自分たちがまた、同じ夢を見ていたのだとわかった。
「……更衣室……じゃないかも───……」
「は?」
「あ、あの深い意味はないんだけど。ひょっとしたら別の所かなーなんて」
「たとえば、放送室とか───」
なんて話していれば、会議室の扉が開いてぼーさんとジョンが入ってきた。
「おっ。なんだぁ?男一人に女二人、ハーレムかぁ?若いもんはええですのぅ」
ぼーさんの年寄り臭い言葉に、あたしと麻衣は肩を下ろす。
「……ったくぅ。真面目な話してたのに〜」
「ぼーさんのせいで台無し〜」