第1章 悪霊がいっぱい!?
「あの校長も大ゲサよねぇ。こーんなボロっちい旧校舎ひとつに何人も」
「そう。おれだけでよかったんだ」
「あーら、それはどうかしら」
いやに自信満々だなと思いながらも、相変わらずあたしは坊さんから目が離せなかった。
「ところでボウヤ、名前は?」
「渋谷一也といいますが」
「聞いたことねぇな。三流だろう」
「アタシ、滝川法生なんてのも聞いたことないわよ」
「そりゃ、勉強がたりないねえ。じつはおれも松崎ナントカなんて聞いたことがないんだわ」
「あんたのほうこそ勉強不足じゃあないの?」
突然口喧嘩を始めた巫女さんとお坊さんに、あたしと麻衣は目をパチクリさせた。
(なんだぁ?霊能者ってこんな人達ばっかなの?)
お坊さんはタイプだけど、顔と見た目がだけであって中身はそこまでタイプではない。
出来れば関わりたくないようなタイプである……と思っていた時だった。
「谷山さんたち」
声をかけられ、振り向けばそこには黒田さんの姿。
(め、面倒臭いのが増えた!!)
あたしと麻衣は思わず『げっ』という表情になる。
だが黒田さんはそれを気にせず、口喧嘩していた巫女さんと坊さんの方へと視線を向けた。
「この人たちは」
「あーえっと、旧校舎を調べに来た人たち……巫女さんとお坊さんだって」
「……多分」
本当に巫女さんとお坊さんなんか分かっちゃいないが……と付け加えようとした時、黒田さんは何処か嬉しげに安心したように声をあげた。
「ああ!よかったわ。旧校舎は悪い霊の巣でわたし困ってたんです!」
「……あんたがどうしたって?」
「わたし霊感が強くて、それですごく悩まされ……」
「自己顕示欲」
「……え?」
「目立ちたがりね、あんた。そんなに自分に注目してほしい?」
巫女さんのキツイ言い方に、黒田さんが萎縮する。
とんでもない言葉にあたしと麻衣は思わず黒田さんを庇うように前に出た。
「そ、そんないいかたないでしょ!?」
「ホントのことよ。そのコ霊感なんてないわよ」
「なんでわかるんですか!?」
「見ればわなるわ、そのコただ目立ちたいだけよ」
「それはアンタも変わらないでしょ!そんな派手な化粧で巫女なんていって!アンタも目立ちたいだけなんじゃないんですかー!?」
「はあ!?小娘、あんた、なんて言った!?」