第6章 禁じられた遊び
あの後、麻衣も飛び起きたのだ。
そのせいで中途半端に二人揃って目が覚めてしまい、ぐっすりとは眠れなかった。
(にしても、あの子ってやっぱり……麻衣も同じ事を思ってたし……)
あたしと麻衣はやっぱりまた同じ夢を見て、同じ男子生徒を見ていたのだ。
(だけど、同じ夢見るのって最近は調査の時ばかりなんだよねぇ……)
小さい頃は夢の中で二人で遊んでいた……なんて同じ夢を見ていた時はあった。
だがそれは成長する度に無くなったはずだけど、ナルと関わるようになってからまた同じ夢を見るようになったのだ。
「───ただ」
先程まで綾子と口喧嘩をしていた真砂子が、小さく呟いた。
「一つだけ……とくに強く感じる霊がいるのですけれど……」
「どういう霊ですか?」
「男の子です。……あたくしと同じ年頃の……」
真砂子の言葉にあたしと麻衣は顔を見合わせる。
「ってことは、十六歳ぐらいか」
「ええ。その子ははっきり見えますわ。強い感情を感じます。……なにか───学校で辛いことがあったのではないかしら。学校に囚われています。この近くにはいないのに、こんなに気配が強い……きっと自殺した霊だと思います。そんなに昔の話ではありませんわ」
もしかしたら……と頭の中に浮かぶのはあの男の子。
屋上で校舎を見ながら笑っていた……。
「……それは、この子ではありませんか」
ナルは小さな新聞の記事をコピーした物を真砂子に渡す。
それをあたしと麻衣は覗き込んだ。
「……この方ですわ。そう……坂内さんとおっしゃるの」
写真にあったのは、やっぱりあたしと麻衣が夢の中で見た男子生徒だった。
あの子はやっぱり坂内くんだったのだ。
「学校に恨みがある───……というのは本当かな。リン、昨夜のようすはどうだ?」
ナルが聞けば、ヘッドフォンをしていたリンさんがナルの方へと視線を向けた。
「───温度に異常にあった場所が何ヶ所かあります。とくに低かったのは3ー1、2ー4、LL教室です。映像に異常はありませんが、マイクに音が入ってる場所が三ヶ所───美術準備室と2ー4の教室、体育倉庫です」
「……なるほど。初日から反応が出てくれるわけか」
ナルは呟きながら机を指で叩く。
すると、麻衣の隣にいた安原さんが不思議そうにしていたのに気付いた。