第6章 禁じられた遊び
横には麻衣が寝ていて、その向こう側には綾子が寝ている。
何時だろうと、宿直室の時計を見てみれば深夜の二時であり、起きるのは早い時間帯だった。
「……はあ」
それよりも、あの夢は何だったのだろう。
校舎を泳ぐように漂う人魂、そしてそれを見て愉快そうに笑う男子生徒。
「……怖い」
✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴
「霊が見えない!?どーゆーことよ、真砂子ちゃん!」
「まったく見えないわけじゃありませんのよ。存在は感じます」
翌朝、緑陵高校に遅れて真砂子とジョンがやってきた。
だが真砂子は『霊が見えない』と言ったものだから、ナルとリンさん以外のメンバーは目を見開かせたものだ。
「て、でもこの中で霊が見えるのって真砂子だけなんでしょ?ってことは……」
「いきなり大ピンチ」
「あちゃ〜……」
「ま……まあまあ。今はたまたま不調なだけかもしれまへんし」
真砂子はあたし達の言葉に不機嫌そうにそっぽを向いてしまう。
だが、まさか唯一の頼りである真砂子が見えないなんて、ぼーさんの言う通り大ピンチである。
「……存在は感じるんですね?」
「……ええ。霊がたくさんいる事は分かりますわ、何処にいるかも。でも……どんな霊なのかよくわかりません。いつもははっきりと見てるのですけれど……なんだかチャンネルの調整が合ってないTVを見てるような……わかりますかしら」
モザイクがかかっているような感じなのかな。
そう思いながら、あたしは真砂子が言ってることを想像してみる。
「……あたくし、もともと浮遊霊と話をするのは苦手ですの。場所や人に強い因縁をもってる霊なら大丈夫なのですけど……」
「まぁ、コックリさんで呼び出された霊じゃ因縁なんてのはないだろうが……またかよ真砂子」
ぼーさんが溜息を吐き出せば、真砂子は鋭い目付きでぼーさんに睨みつけて叫ぶ。
「この間は特別ですわ!今回はまったく見えないわけでも、感じないわけでもありません!」
「結局、アテにはできないんでしょ?」
「あら、松崎さんにだけは言われる筋合いはこざいませんわ」
相変わらずの口喧嘩が始まり、あたしは苦笑をしながら麻衣と揃って欠伸をした。
「おや、二人とも眠られなかったんですか?」
「え?いやいや」
「寝たんですけどね……ははは」