第6章 禁じられた遊び
「よしっと。こんなもんかな……結衣〜設置できたあ?」
「できたよぉ」
マイクを設置していれば、安原さんがポカンと驚いたような表情を浮かべていた。
この反応はバイトをしだしてからだいぶ慣れてしまい、苦笑を浮かべる。
「これで何か怪しい音がしないかチェックするんです」
「……はあ……。最近の霊能者ってこんな機材を使うんですか?」
安原さんは物珍しげに並べていく機材を眺めていた。
「うちは特別なんですよ〜」
「そそ。それにナルは霊能者じゃないから」
「霊能者って言ったら、すぐさまゴースト・ハンターだって本人が修正してくるんですよ」
あたしや麻衣も最初に『霊能者』と言ったらナルに凄い目つきで見られ、『ゴースト・ハンター』だと言われた。
何が違うんだと思いながらも、今までの依頼者達に一応ボスが怒らないようにと訂正してきた。
「あ、知ってる。それ」
安原さんの言葉に麻衣とあたしは目を見開く。
「めずらし……普通知らないですよ」
「うん。依頼者の人達、たいていは『何それ』って言われるのに……」
「うん……坂内……例の自殺した一年生がね、入学早々の進路調査で『将来の希望 ゴースト・ハンター』って書いたんだって。……まあ冗談のつもりだったんだろうけど。それで、ちょっとね」
「……そっかあ。こういうことに興味のある子だったんだ……」
ゴースト・ハンターを将来の希望にしていた男の子。
彼が生きていたら、あたし達を見てどんな反応をしていただろうと小さく笑みを浮かべる。
(会ってみたかったなあ)
なんて思っていると、安原さんが『そういえば……』と呟いた。
「谷山さん達って、二卵生の双子ですか?」
「おお!よくお気づきで!」
「すごーい!いつも姉妹かって聞かれるけど、二卵生の双子かは聞かれたことないや!なんで分かったんですか?」
「多分、そうだろうなあって。年齢は同い年そうですし、それに何処と無く似てるじゃないですか。性格とか雰囲気とか喋り方とか」
あたしと麻衣は拍手する。
今まで『姉妹?』とは聞かれることが多くて、いつも『二卵生の双子です』と言っていた。
そして何時も『似ていない』と言われるのだ。
双子は全員瓜二つって訳じゃない。
なんて思っていたものだ。