第6章 禁じられた遊び
「───とにかく。目撃数が多すぎて機材が足りない。明日原さんに霊視してもらって霊の存在を確認する。いると分かったらぼーさん、松崎さん、ジョンの三人で除霊にあたる。曖昧なものについてはぼくとリンが調査をおこなう」
あたしと麻衣がせっせと運んで並べた機材たちの前では、既にリンさんがパソコンを開いて仕事をしている。
相変わらずの無口で無表情だ。
「麻衣と結衣はここで情報の中継と整理。───ただし、なにかあったら報告するように」
「なにかって?」
「なに?」
何かあったら報告とは何だ……と麻衣と二人で首を傾げる。
そんなあたし達にぼーさんと綾子は呆れた表情だ。
「第六感(シックスセンス)の女なんだろ?こないだ二人揃って潜在的なESPとか言われたじゃねぇかよ」
「あー、そっか」
「そうだった。忘れてた……」
そう、あたしと麻衣はナルの実験により潜在的なESP……つまり超能力者ということが判明したのである。
だが完全に二人揃って忘れていた。
「え、じゃあ谷山さん達もただの人じゃないってことですね」
「いやいや、そんな」
「ただの人じゃないなんて」
「まっ、忘れててもしょうがないか。たまたま役に立っただけだもんねー」
「そういう誰かさんもたまには役に立ってみようよー♡」
「あたしと麻衣、綾子が役に立ってるの見たことないよー♡」
綾子と喧嘩地味た事をしながらも、後ろで笑っている安原さんに気が付いた。
そういえば彼は帰ろうとしていない。
「そーいえば、安原さん帰らなくていいんですか?」
「もう他の生徒帰宅してますよー?」
「うん。ぼくみたいのでも雑用くらいできるかなと思って。一応泊まるようにしてきたんですけど」
安原さんの言葉にぼーさんがげんなりしていた。
「六畳間に男五人……」
「ご心配なく。寝袋借りてきましたから」
「安原さん。残ってくださるのは有難いですが、泊まり込みはやめた方がいい。危険です」
「もちろん、足でまといになるようならいってください。帰ります」
安原さんの言葉に、ナルは薄く笑った。
「……それでは、手を貸していただこうかな」
そうして、あたしと麻衣は安原さんを借りて各教室に機材を設定していくことに。