第6章 禁じられた遊び
指が二人とも微かに震えている。
二人とも動かしていないつもりだったのに、何故か指は震えているのだ。
「……微かですけど震えてますね」
「わかったか?人間の体はそういう風に出来ているんだ。これを大勢でやるとお互いの震えが影響しあってコインが動く。誰も動かしたつもりはないから不思議に思えるんだ」
「へ……」
知らなかったなと結衣は指を見る。
今まで動いていると、キツネがきて動かしているんだと思っていたのに違った。
「……でもー、じゃあなんで当たったりすんの?」
「結構当たるよー?コックリさんって」
「こういうことをやろうという人間は、質問に対する答えが当たれば面白いと思っている。その期待が本人も意識しないうちにコインを動かしているんだ」
「でもでも!あたししか知らないこと当てたりするよ!」
ナルの言葉に麻衣は食い下がる。
「たとえば?」
「あっ、あたしのポケットになにが入ってるでしょう!」
「……すると全員が無意識のうちに何が入っているのか推理する。それぞれがバラバラの事を考えているから思いかげない文字に動くこともある。例えば『キ』。すると次は『キ』のつくものを考える。『キーホルダー』?それで次には『ー』に動き……最終的に『キーホルダー』といつ文字が綴られる」
麻衣は目を見開きながらポケットからキーホルダーのついたカギを取り出した。
ナルは当てたのだ。
その事に双子はとてつもなく驚いてしまっていた。
「……当たり……」
「馬鹿。さっしから音がしてた」
「あ、それでキーホルダーって気づいたんだ……」
結衣の言葉にナルは息を吐き出しながら頷く。
「やっているうち、答えが当然だが当たり外れがでてくる。当たらなかった場合は『ああ、やっぱり』ですませてしまうが、当たれば不思議なので強く印象に残る。実験してみればわかるが……二ダース質問して三つくらい当たるとけっこう当たったという気がしてしまうのもなんだ」
「二十四個のうち、たった三つですか……」
ふと、法生はある事に気がついた。
「今の聞いてると、おまえさんはコックリさんを信じてないみたいだな」
「そうだな……ぼく自身はコックリさんには否定的だ」
ナルの言葉に双子と法生は驚く。