第6章 禁じられた遊び
「はい。必ず十二日周期で早朝に。次の予定は二日後です」
ナルは話を聞いてから、何処か難しそうな表情を浮かべていた。
双子はというと思ったよりヤバそうだなと思いながら、難しい表情のナルを見る。
「……教室を見せてもらえますか」
「あ、はい」
結衣達は安原の案内で、例の教室に向かう事になった。
案内されたのは安原がいるクラスである3ー1であり、結衣は標識を見上げながら鼻を動かす。
廊下からは臭わない。
なら教室の中だけなのだろうかと思っていれば、安原が振り返った。
「ここです。開けますよ」
安原が扉を開けた瞬間、鼻を刺すような臭いがした。
思わず双子は顔を顰めてしまう。
「臭いますか?」
「……なんちゅーか、夏に台所に出しっぱなしで三日ほど忘れていた魚の臭いのような」
「夏に生ゴミを出し忘れて、放置してしまった時のなんとも言えない臭いのような」
「かすかにすえた香りと水量の減った、ドブ川にも似た香りが絶妙なハーモニーを奏でて」
「「「つまりクサイです」」」
三人の言葉に安原は『やっぱり』と告げた。
そんな中でナルは平然とした表情で教室に入っていくので、結衣は変なものを見るような目を向ける。
教室に入ってみると、全体的に臭う。
刺激が強すぎて涙も出てきそうなぐらいに臭っていた。
「とくに臭いの強い場所はないですね」
「そうなんです。臭いの元をずいぶん探したんですけど、教室全体が臭うんですよね」
平然と話しているナルと安原の後ろで、結衣と麻衣と法生は『まどまどまど』と呟きながら早歩きで窓へと近付く。
そして法生が勢いよく窓を開けた。
「……窓開けてもあんましかわんないね」
「鼻がおかしくなりそう」
「二人とも外に顔だして息吸え!」
一方、ナルは相変わらず平然とした表情だった。
そして教室内を歩き回ってから、安原に尋ねる。
「……こので何か変なことをしませんでしたか?」
「変なこと……ですか?」
「───降霊術のような」
双子と法生が目を見開く。
そしてナルは無表情で安原を見ていた。
「降霊って……」
すると、安原の後ろにいた女子生徒達が顔を見合せて言葉を発した。
「……ヲリキリさまのことじゃない?」