第6章 禁じられた遊び
「───結局、クラスの半分近くがそんな感じで倒れました。その時は教室中が異常なほど臭かったです。そうだな……空気が悪いのが極端に進んで、臭うほどになったって感じでした」
「……なるほど」
「学校の暖房はスチームだし、ガスの線はないですね。食中毒の症状とも全然違いましたし」
その言葉に双子は驚愕した。
新聞では『集団食中毒』と書かれていたのに、話を聞いてみればそうじゃない。
「えっ、じゃあ新聞にのってたのウソ!?」
「『集団食中毒』じゃなかったんですか!?」
「学校側の取り繕った言い訳でしょうね」
「その臭いはいまでもしますか?」
「はい。ぼくらはマヒしてて分からないんですけど、他のクラスの人が教室に来るとなんの臭いだって聞きますから」
それ程に臭うとは……と結衣は目を丸くする。
「ただ、時々はっきり分かるほど臭いが強くなることがあります」
「臭いねぇ……」
法生はなんとも言えない表情になる。
そして結衣も戸惑ったような、なんとも言えない表情だった。
心霊現象で臭いがあるとは聞いたことが無い。
ナルや法生や他の霊媒師達にもそんな事は聞いたこともなければ、今までの依頼先でもそんな事はなかった。
「……安原さん。貴方が最初に異変に気づいたのはいつ頃ですか?」
「───……絶対になりかあると思ったのは、不登校事件からです」
「それより先に火事が続く事件がありましたね」
「更衣室のボヤの騒ぎですね。あれは初め放火じゃないかと言われてたんです。必ず十二周期で起こっていたので、誰かわざとやってるんだろうって」
「必ずですか」
「そうです。十月の半ば最初だったかな。その十二日後にまたあって、暫くの間先生が交替で見張ってたんですけど」
「三度目が十二日後に?」
「はい。それで更衣室を使用禁止にしたんです。鍵をかけて。でも……」
「また十二日後?」
「ええ」
これもまた結衣には驚愕な話であった。
新聞ではボヤ騒ぎがあったとしか書かれていなかったのに、十二日周期でボヤ騒ぎがあったというのか正解なのだから。
「そのころ不登校事件が起こったので、これはただの放火ではないんじゃないか、と」
「いまも続いているんですか?」