第6章 禁じられた遊び
「あしたち皆見てます。クラスの子のほとんどが声を聞いてるし。怖いから授業に出たくないって先生に言っても聞いてくれなくて。それで皆で学校を休んだんです」
一方、話を聞いていた法生は図面に聞いた怪談話をメモしていた。
「……他に何か学校で起こっている変な話を知っていますか?」
ナルの問に女子生徒達は目を見合わせる。
そして怒涛の如く、勢いよく怪談話を口にしだした。
「『開かずのロッカーとか』」
「『いつのまにかバラバラになる人体模型』」
「『音楽室の物音』」
「焼却炉のフタを開けるとお爺さんが逆さまに顔を出すって……」
「保健室のベッド!奥から二つめにいつの間にかに誰か寝てるって」
法生は焦りながら図面に言われた怪談を書いていく。
その横で結衣も法生が聞き取れていなかった時のようにと、慌てて怪談をメモしていった。
新聞で見た記事の内容より多いかもしれない。
結衣はボールペンで自身のこめかみを押さえた。
「……坂内くんを見たって人がいます。廊下ですれ違ったとか、教室に立ってたとか……」
「さかうち?誰です?」
「九月に自殺した一年生です」
自殺という言葉に結衣は目を見開く。
そんな内容は新聞にはなかった……と。
そして次の女子生徒が来た。
彼女達は自分たちで除霊しようとした騒ぎの中心人物達である。
「変なことが起こりだしたのって去年の秋頃……っていうより……坂内くんが自殺してからなんです」
「もしかして坂内くんの自殺が関係あるじゃないかと思って……」
「……それで、この記事にあるように自分たちで除霊をしようとしたんですね?」
「そうです。でもわたし達、坂内くんの祟りだって決めつけてるわけじありません。何かしないではいられなくて。でも、何していいのか分からなくて……」
法生は女子生徒の言葉に息を吐き出し、双子は戸惑ったような表情を浮かべていた。
記事を読んだ時、何故自分たちで除霊をと不思議に思っていたのを結衣は覚えている。
まさかそんな背景があると思っていなかった。
「貴方は坂内くんと知り合いでしたか?」
「いいえ。事件の後で初めてそんな子がいたんだなって……それに遺書が───一時、有名になって……」
「遺書?」
「はい。『ぼくは犬ではない』って───」