第1章 悪霊がいっぱい!?
「やっだあ!」
なんて騒いでいれば、恵子達は黒田さんに睨まれてしまって、慌てていた。
そんな彼女達に溜息を吐き出しながらも、あたしはちょっと黒田さんには関わらないでおこうと決める。
(なんかよくわかんないけど、関わらないほうがいい……)
そして放課後。
あたしと麻衣は車の元へと走って向かった。
そこには何かをしているナルちゃんの姿がある。
「こんちはー」
「こんちはー、なにしてんの?」
「昨日集めたデータのチェック」
「あー、昨日の機材で集めた」
今思い出しても嫌になる。
重たい機材を持って運んで並べる作業。
「なにかわかった?」
「特に異常はないな。霊がいないのか、今は姿を潜めているのか……どちらにしてもそう危険ではないだろう」
「ふーん、そっかぁ」
麻衣と共にナルちゃんの手元を覗いた時であった。
「へえ!いっぱしの装備じゃない」
背後から女性の偉そうな声が聞こえてきた。
なんだろうと振り返れば、そこには派手と捉えられる厚化粧をしている女性と……。
「……ひょっ……!?」
長髪の金髪に軽薄そうな姿の男性。
あたしのタイプ、まんまの男性がそこにいたのだ。
「あ……結衣のタイプドンピシャのオトコノヒトだ」
ぼそりと麻衣が呟いた。
だがそんな言葉は二人に聞こえなかったのか、派手な化粧の女性は品定めするかのようにこちらを見てきて呟く。
「子どものオモチャにしては高級すぎるカンジねぇ?」
「……あなたがたは?」
「アタシは松崎綾子、よろしくね」
「あなたのお名前には興味ないんですが」
バッサリと言い放つナルに、男の人は吹き出していた。
そんな笑い方もタイプ過ぎて、あたしの耳には女の人の言葉なんてほとんど入ってこない。
「ずいぶんナマイキじゃない、ボウヤ。でも顔はいいわね」
「それはどうも」
「ま、顔で除霊するわけじゃないしね」
「……同業者ですか?」
「そんなものかな。アタシは巫女よ」
その言葉に思わずあたしと麻衣は吹き出してしまった。
だってこの松崎綾子という人、巫女になんて見えないのだから。
なんて思っていれば、ナルちゃんはにっこりと微笑んだ。
「……巫女とは清純な乙女がなるものだと思ってました」