第1章 悪霊がいっぱい!?
「もう帰っていいぞ。今日の仕事はここまでだ。あとはカメラが自動的にやってくれる」
やっと解放される事に結衣は安堵の息を吐き出す。
これで力仕事とはオサラバと思いながらも、やなり霊能者という雰囲気では無いことに違和感を覚えた。
(お祓いとかしないのかぁ?)
痛む腰を撫でながら思っていれば、同じように腰を撫でていた麻衣がナルに言葉を投げかけた。
「……ほんっとに霊能者って雰囲気じゃないねぇ」
「“ゴーストハンター”。霊能者といっしょにするな」
同じだろうと二人は思ったが、言葉にはせずに彼に背を向けて歩き出した。
「……んじゃ帰ります。おさき〜〜」
「おつかれさまでした〜〜」
「明日の放課後、車の所に」
まさかの言葉に2人は転びそうになった。
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ー翌日・結衣sideー
アタシは麻衣のクラスに紛れ込みながら、ミチル達に麻衣と共に渋谷という男は転校生じゃない事と昨日あった事を話した。
未だに痛む腰と腕を擦りながら。
「えーーっ?じゃあ渋谷さんて転校生じゃないの!?」
「ちゃうちゃう。たんなるウソつき」
「転校生なんて可愛らしいものじゃなかったよ」
アタシと麻衣の言葉に、ミチル達は残念そうにしていた。
そんなに残念なことだろうかも思っていた時である。
「……ちょっと、谷山さんたち」
いつの間にか背後に黒田さんがこちらを睨むように見ながら立っていた。
もしや、無断でクラスに入ってきたあたしに何かあるだろうかと思っていたがその予想は外れていた。
「あの人、霊能者なの?旧校舎を調べに来たって、今言ってたけど」
どうやら立ち聞きしていたらしい。
だがここは訂正してないとナルちゃんがうるさそうだ。
霊能者じゃなくて『ゴーストハンター』だと……と思っていれば、麻衣が訂正した。
「霊能者じゃなくて、ゴーストハンターそーです」
「ゴーストハンター?」
「だから、それどうちがうのよ」
「知らんって」
「あたし達だって知りたいやい」
霊能者とゴーストハンターは何が違うのか、それはあたしも麻衣も分からない。
だが『霊能者』なんて言えば、キツイ指摘をされてしまう。
本当に何が違うのやら。
なんて思っていれば、黒田さんからまさかの言葉が飛んできた。