第5章 サイレント・クリスマス
何とかならない。
結衣を見たリンは次にジョンに助けを求めた。
「ブラウンさん!何とかしてください!!」
「ハイッ!すんません!!」
「ジョン!なんとかしてぇ!!麻衣に無視されるなんて、あたし耐えられないい!!」
「ハイッ!!すんまへん!!」
結衣は号泣しそうな勢いであった。
そんな結衣を法生は哀れそうにしながら、頭を撫でてやる。
「いままで麻衣に無視されたりする事なかったんだよお!!喧嘩してもそんな事しない子なのに!あたし、お姉ちゃんだよ!?麻衣のお姉ちゃんなのにいい!!」
「ま、まあまあ。今の麻衣は麻衣であって麻衣じゃねえからなあ……。泣くなよ、結衣」
「ナカは違っても、麻衣じゃんかあああ!!うわあああん!!」
「よーし、よしよし」
号泣しだした結衣の頭を撫でながら、法生は苦笑を浮かべてしまう。
仲のいい双子だから、今回のことはよほど辛いことなのだろうと、未だにリンに抱きついてはしゃく麻衣を見た。
「麻衣があああ……」
「しばらく相手をしてるんだな、お父さん。ぼーさん、ジョン。外へ。結衣も来い」
法生は泣いている結衣の手を繋いでから外に出て、ジョンは申し訳なさそうにしながら同じように外に出た。
リンは置いていかれる事に驚愕していたが、ナルはそれを無視して扉を閉める。
「ジョン。いつもこうなのか?」
「あ……いいえ。すくなくとも直ぐに次の子に憑くゆうことは、おまへんでしたです」
「ラップ音は?」
「はじめてです」
「これまで無かったというのは、意味深だな。頻繁になってると言っていたが他にはどんな?」
「隠れる時間が前よりなごうなってます。それで東條さゆが──」
『……このままではいまより隠れる時間も回数も増え、そのうちケンジくんのようにいなくなってしまうのでは』
「それに以前は落とす時にそんなに抵抗もなかったのんですけど、今回はちょっとイヤがる感じがありましたです」
「ここでもう一度落とすと、どうなると思う?」
「さあ……ほかのお子さんたちのとこに行くかもしれませんし。ただ、ケンジくんがもっと怒るのんは確実やと思うです」
結衣はその言葉を聞いて、不安げにしていた。