第5章 サイレント・クリスマス
「東條さん」
「よく、きてくれましたね」
「渋谷さん。この方が依頼人の東條神父さんです。こちらは渋谷サイキック・リサーチの所長さんで渋谷さんです」
「お手数をおかけします」
この依頼の始まりは、ジョンからのお願いであった。
彼の知り合いの神父が困っているので、助けて欲しいのと依頼されている……と。
普段協力してもらっているからなのか、ナルは断ることも無く承諾した。
なので今回結衣達は調査の為に教会に来ており、法生は助っ人のようなものである。
「さ、なかへどうぞ」
東條は柔らかい微笑みで、結衣達を中へと誘う。
双子は『教会の中って初めて!』とはしゃぎながら歩き出し、法生は教会を見上げて言葉を零した。
「──へえ……」
教会の外には、天使の像が掘られている。
大きなその像の下には何故か骸骨があり、これも装飾なのだろうかと双子は眉をほんの少し寄せた。
「なかなかサイケだよな」
「……ふへ〜」
「凄いねえ」
すると、近くから小さな子供たちの笑い声が聞こえる。
双子と法生はそちらへと視線を向ければ、そこには小さな子供たちが遊具で遊んでいた。
子ども達と言っても、日本人だけじゃない。
外国人の子供たちも混ざって遊んでいる。
「……こりゃまた、インターナショナルなお子さんたちで」
「日本人の子達だけじゃないねえ」
「ああ、東條さんは外国人労働者の子どもさんを預かってはるんです。親御さんが仕事にいってるあいだ面倒を見たり、事情があって家におらへんようになった子を引き取ったり」
結衣と麻衣は、ジョンの話を聞いて目を悲しげに細めた。
「……へえ……」
「そうなんだ……」
中に入ると、全員は事務所に通された。
暖房が着いた事務所は暖かく、東條は結衣達に紅茶の入ったティーカップを置く。
外が寒っかたぶん、暖かい紅茶は冷たい体によく染み渡った。
「──この教会ではときどき妙なことがありまして。けさも様子のおかしい子がいて、ブラウンくんに連絡をしまして、そちらにお願いしてはと」
「妙なこと?」
「はあ……それが……」
東條は口ごもってしまう。
なんとも言い難いと言いたげだが、ジョンが代わりに説明をした。