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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第1章 悪霊がいっぱい!?


それだけは勘弁してほしい。
結衣と麻衣は『嫌だ』という気持ちを込めて言葉を投げると、ナルは無表情で二人を見た。


「それじゃ、おまえたちが機材を運ぶか?重い物で40キロ近くあるが」

「「……棚でいいです」」


二人同時にそう伝えると、ナルは無言で教室を出ていってしまった。

薄暗い教室に二人だけ。
いかにもの雰囲気に二人の中では恐怖が徐々に大きくなる。


「だ、大丈夫、大丈夫だよ。まだ明るい時間帯だし。ほら、幽霊って夜に出てくるもんでしょ?」


麻衣が怖がらないように……と結衣は明るい口調で話し始める。


「そ、そうだね……」


なんて話していれば、ギシッという音が教室の中から聞こえてくる。
続けてパシッという何か破裂したような音が響いてきて、二人は思わず悲鳴をあげた。


「だ、大丈夫、大丈夫……」

「なんでもない、なんでも……」


安心しようとお互いに言葉を投げかけていた時、扉に人間の指が見えた。
思わず二人が悲鳴をあげようとした時、外からナルが姿を見せる。


(な、ナルちゃんだったぁぁ……)


幽霊なんかではなく、ナル。
その事に安堵した結衣は軽く息を吐き出した。


「ほうけてないでさっさとしろ!」


安堵していた二人にナルは厳しい言葉を投げる。


「あんなヤツキライだ……!」

「キライだこんなヤツ……!」


泣きたい気分で二人はせっせと御仁に説教されない為にと、棚を組み立てていった。

結衣と麻衣が棚を組み立て終えると、ナルが運んできた機材を並べていく。
しばらくすれば、何も無かった殺風景な教室には大量の機材が並んだ。


「うひやぁ……すごい機材の量」


結衣は関心したような、驚いたような声をあげる。
今まで生きてきた中で、こんな機材は見たことがなかった。


「あっ、それなに?」


背後で麻衣がなにやらナルに声をかけていたので、振り返ればナルはいかにも『面倒臭い』もしくは『鬱陶しい』という表情で麻衣を睨んでいる。


「な、なんだよ」


仕方ないと言わんばかりの表情を浮かべたナルは、手にしていた機材の説明を始める。


「テープレコーダー。ただし、これは少し特別な物で最高二十四時間まで録音できる。これと集音マイクで音を拾う」
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