第1章 悪霊がいっぱい!?
二人がこそこそと話していれば、少し離れて歩いていたナルシストのナルちゃんは『終わったらさっさとこい!』と怒号を飛ばしてくるのだった。
そしてナルに言われて二人は機材を両手に抱え、彼の後ろを着いて歩いた。
彼が向かった先には黒塗りのバンがあり、ナルは有無も言わずに扉をスライドさせて開ける。
「……ねー、ちゃんと手伝ったしもういいでしょー?」
「もういいよねー。あたし達帰りた……」
結衣はバンの中身を見て言葉を失った。
中には機材がこれでもかという位に丁寧に積まれていたのだ。
「機材を運ぶ」
「は、運ぶって……まさか!」
「これ?全部!?」
「必要なだけ全部」
とんでもない機材の量に二人は目を見開かせる。
ゴーストハンターと聞いたが、幽霊退治するようには全く見えない。
(幽霊退治って、こう……なんが呪文というお経とか唱えてするもんじゃないの??これじゃ、なんだか全然幽霊退治するように見えないんですけど!?)
結衣と麻衣は目を見合せながら、驚いた表情を浮かべる。
「ねえ、結衣。これ本当に幽霊退治に見える?」
「見えない」
双子は驚いたままだった。
何せ想像と違いすぎるのだから。
「でも、こんなのナ……渋谷さんだけ使えるの?」
「助手さんいなくても平気なの?」
「君たちとは頭のデキが違う。行くぞ」
ナルの言葉にムカッと来た結衣だが、『行くぞ』という三文字の言葉に青ざめる。
不意に横を見れば、同じように麻衣も青ざめている。
「……中に入るの?」
「……旧校舎の中に?」
「あたりまえだ。心配しなくても二人だけで行かせやしない」
そう言いながらナルは二人に機材を手渡した。
(そういうことじゃない!!二人でも三人でもじゃなくて、入りたくないんだい!!)
と心の中で叫びながらも、ナルに『行くぞ』と言われた結衣は麻衣と共に泣く泣く旧校舎へと立ち入った。
旧校舎の中はどこもかしこも薄暗い。
窓からは最低限の光しか入ってこない為、中は如何にもという感じがしていた。
「ここを使うか」
ナルは一つの教室の扉を開け、並んでいた机に機材を置く。
「棚を組み立ててくれ。僕は機材を取って来る」
「はい!?」
「あたし達二人でここに残るの!?」