第1章 悪霊がいっぱい!?
麻衣の言葉に渋谷の目は『じゃあ、弁償するか?』という圧を含んでいた。
どうやらやっぱり結衣達は手伝わなければいけないようだ。
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「ほえ……」
渋谷に着いて辿り着いたのは旧校舎。
そして彼に案内されたのは旧校舎の外であり、そこには大きなマイクが三つ並んでいた。
「マイクをはずして集めていってくれ。僕がスタンドを回収する」
「お、大きなマイク……」
「……このマイク、なんに使うの?」
「マイクはふつう音を拾うのに使うと思うが」
「そーでなくてっ!」
「音を拾うぐらいあたしも麻衣も知ってるわい!」
「よく調査されていない幽霊屋敷に入るのは危険だ。だから最初は建物の外からできる限りの調査をしてみる。中の音を拾ったり、ビデオカメラを置いたりするんだ」
面倒くさそうにはしているが、渋谷は説明をしてくれた。
「へえ……怖くないの?オバケ屋敷」
「別に」
「なんで、その年でこんなことやってるわけ?」
「確かに。まだ未成年じゃん」
「必要とされているから」
なんの迷いもなくきっぱりと答える渋谷に、二人は若干狼狽えてしまう。
「で、でも解決できなかった事件とかあるでしょ?」
「そ、そうだよ。一つや二つあるでしょ?」
「ないね。僕は有能だから」
ひくり……と二人の顔が引き攣る。
なんともムカつく言葉であり、なんとも自信たっぷりの言葉なのだろうと。
「〜〜あっ、ああっらぁ!すごいのねぇぇ!顔が良くてしかも有能なんてぇ」
「ホントにねぇ!顔も良くて有能なんてぇすごいよぉぉ」
麻衣に続けて結衣もそう言葉にすると、渋谷は少し眉を上げて二人の方へと振り返る。
「……僕の顔、いいと思うか?」
「い、いいんじゃなあい!みんなも騒いでたしい」
「黄色い悲鳴あげてたからねぇ!」
『好みでは無いけど』と結衣が心の中で呟いていれば、渋谷は興味なさげに二人に背を向けて呟いた。
「ふうん……趣味は悪くないな」
その言葉に二人は殴られた気分だった。
(な、なんちゅーナルシスト!!)
驚くほどのナルシストっぷりに二人は唖然としてしまう。
「アイツ、すごいナルシーだ……決めた、あいつはナルちゃんだ……」
「ナルシストのナルちゃんだ……」