第3章 公園の怪談!?
「いーの、いーの!奢ってもらうばかりじゃ悪いし。これぐらいさせてよ」
ふふんと笑う結衣に法生も釣られて笑う。
子供らしい笑顔だが、彼女の笑顔はどうにも釣られてしまう不思議な魅力がある。
可愛らしい。
素直にそう思える彼女に法生は『デートだし、年上だし』と文句は言わずに素直にコーヒーを受け取った。
「あんがとよ」
「こちらこそ、映画のチケットありがとう!よーし、見に行こう!」
館内に入り、二人は隣同士の座席に腰掛ける。
暫くして上映時間になると明かりが消えるが、スクリーンの明るさで隣ぐらいならよく見えた。
チラリと結衣は法生へと視線を向ける。
彼は真剣そうな表情で始まった映画を見ており、その真剣な表情が格好いいと思ってしまう。
(て、映画観なきゃ、映画!)
何しているんだ、自分は。
結衣は己を叱りながら、スクリーンへと視線を戻す。
刑事映画はコメディー感も強いが、最後の方は感動してしまうものだった。
グスンと鼻を鳴らし、結衣は目を潤ませる。
感受性が豊かな彼女は、ちょっとした感動シーンでも涙してしまうのだ。
法生はそんな彼女の横顔を見ていた。
感受性が豊かなとはいえ、ちょっした感動シーンでも泣いてしまうなんてと思いながらも彼女らしいと微笑む。
ふと、視線に気付いたのか結衣が法生の方へと視線を向けた。
目が合い、視線が重なる。
「っ……!?」
驚いた結衣は顔を赤くさせた。
法生は『おや…』と思いながら微笑んで見せれば結衣はスクリーンへと視線を慌てて向ける。
(ビックリした!泣いてるの見られた!?はずかしぃぃ)
映画が終わり、結衣は恥ずかしと映画の面白さで色んな感情がせめぎ合っていた。
「面白かったな〜」
法生はのんびりとした声を出しながら、結衣の隣を歩いている。
「結衣って、涙脆い?」
「え!?あ、いや……まあ、うん……そうかな。ちょっとした感動シーンでも泣いちゃうんだよねえ。麻衣によくからかわれてる。子供みたいだよね」
恥ずかしげに呟いた結衣は、頬を抑える。
法生に泣いている姿を見られたのは、少しだけ恥ずかしかった。
子供っぽいと思われてしまっているのではないかと思いながら。