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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第1章 悪霊がいっぱい!?


『その、それが……。旧校舎は祟られているという妙な噂がありまして』


その言葉を聞いた結衣と麻衣は目を見開かせた。
この渋谷という男は、それだけでこの高校に転校してきたのかと。


「そのためにわざわざ転校して来たの!?」

「調査の為に!?」

「誰が調査の為に転校なんかするんだ」

「え?」

「だって昨日、“転校生”って」

「『そんなもの』といったと思うが」

「……あ、確かに」

「それに怪談をしてただろう?だから」

「なるほど。旧校舎の話がでるかもしれないもんね」


結衣と麻衣は『なるほど』と納得した。

渋谷は『転校生』らしきものと称する事で、自分達が話していた怪談話を聞きたかったのだ。
もし『転校生じゃない』と言えば少なからずとも、警戒されてしまうはずだから。


「生徒間の噂を集めたかったんだ。で?話は出たか」

「出たよ。ね、麻衣」

「うん。ミチルが話してくれたけど。ええと……」

「確か旧校舎……」

「まった」


結衣が話を始めようとした時、渋谷はそれを制するとジャケットのポケットからレコーダーを取り出した。
どうやら今から二人が話すことを録音したいらしい。


(なんか、調査する人っぽい。いや、ぽいじゃなくてそうなんだけどさ……。でもちょっと、面白い)


そんな事を考えていれば、渋谷は『始めて』と短く伝えてレコーダーを動かした。


「あのね……」


結衣と麻衣がそれぞれミチルから聞いた旧校舎の話を終えると、渋谷はレコーダーのスイッチを切った。


「なるほど」

「ね、ミチルの話ってどの程度ホントだと思う?」

「やっぱり実話なのかな?」

「……旧校舎がつかわれていたあいだ死人が多かったのは事実」

「え……そ、そうなんだ」

「そうなの?」


まさかの事実に双子達は顔を青ざめさせていれば、渋谷は鞄からファイルを取り出す。
そこには全て英語で書かれている文字がぎっしりとあったが、生憎結衣は英語が苦手なので、全く読めない。


「旧校舎が校舎として使用されていた十八年前までは、ほぼ一年に一人から二人の割合で死人が出てる。旧校舎の西側の取り壊工事の際に屋根が落ちるという事故があったのも本当だ」


渋谷の説明に結衣は『そうだったんだ』と少し顔を引き攣らせる。

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