• テキストサイズ

ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第3章 公園の怪談!?


「よりにもよって、この美しい思い出の場所をけがすようなことを〜〜っ!」


真砂子に憑依している女性は、その場に蹲ると大声で泣き出してしまった。
そんな彼女にナルは嫌気がさしたような表情を浮かべながらも、同情もしない声で聞く。


「……それで、なぜ水なんですか」

「あまりの仕打ちに、あたしはあいつにつめよったのよ〜〜。そしたら」


『しつこいんだよ、オマエ』


男は彼女に持っていたペットボトルの水を掛けたのである。
頭から勢いよくかけ、相手の女は楽しげに笑っていた。


「なっ、なんじゃソレ、ムカつくー!」

「そんな仕打ちないでしょ!サイッテー!」

「そうでしょう、そうでしょう〜〜」


双子は相手の女性に同情してしまった。
そんな彼女たちに、法生は止めようとしたが双子は止まらない。


(なんてサイテーな男!ナルよりも失礼だよ!)


結衣と麻衣は怒りながら、その男を『サイテー』と言う。
女性の霊はそれに頷きながら、とあることを語った。


「あまりのショックに打ちひしがれたあたしは、いっそこの思い出の地で美しい思い出とともに、永遠の眠りにつこうと……」

「ま、まさか……」

「……じ、自殺……」

「しようとしたのよー。なのにことごとく失敗〜」


首を吊ろうとしたら、その木が折れてしまったり。
薬を飲んで自殺しようとすれば、警察に見つかって帰されてしまったり。
ことごとく失敗。

失敗したと聞いた双子は、何故がホッとしてしまった。


「それで、もうあきらめて帰ろうとしたのよ〜。そしたら……」


彼女は自殺は諦めて帰ろうとした。
だがその道中、飛び出してきた猫に驚いてしまい後ろに下がると、そこにいた猫に躓いて転けて頭を打つ。
そうして命を落としたそうだ。


「気づいたときはこの姿よ〜」


霊の死に方に結衣たちはなにも言えず、ナルは『半年前なら計算があう』と思っていた。


「じ、じゃあその男のところに直接化けて出れば」

「やったわよ、やったわよ。枕元に立ったり、肩にのったり。ききゃしなかったわよ〜〜。だから腹いせにヤツのかわりにこの公園でイチャつく人々を、おなじメにあわせてやらうと思ったのよ〜〜」

「ダメ!そんなのダメだよ!」

「そうだよ!そんなのダメッ!」
/ 633ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp