第3章 公園の怪談!?
慌てる麻衣に、法生は目を細めた。
「いくら仕事とはいえ、やっぱ若い子の相手がいーのねっ。オジさんかなしーわ」
めそめそと、わざとらしく演技をしながら法生は缶コーヒーを口にする。
そんな彼を見ながら、法生に奢ってもらったミルクティーを飲んでいた結衣は恥ずかしげに呟く。
「でも、あたしはぼーさんの方がかっこよくていいと思う。あたしはぼーさんの方が良いよ」
若干照れてしまっている結衣に、法生は瞬きをすると小さく微笑んだ。
「嬉しいこと言ってくれんじゃん、結衣ちゃん」
「ナルは気が利かないしねぇ」
二人の様子を見ていた、麻衣が今のうちだと慌てたように言い訳をした。
「そ、そうだよ!ナルじゃこんなふーに気がきかないもんっ!」
「オトナの魅力にクラクラすんだろ」
結衣は、麻衣はいるが少しはカップルのように見えるだろうかと思ったが、心の隅にはある不安があった。
その不安を麻衣が呟いてしまう。
「でもさあ、あたしたちってどっちかってゆーと」
「そーね……」
「カップルには……見えないか。あたしも麻衣も、ぼーさんの彼女には見えないよねぇ」
通行人や公園の利用者からしてみれば、三人は仲良くベンチに座ってお茶している兄妹にしかみえないだろう。
結衣は自分で言ったことや、思っていたことに胸が傷んでしまっていた。
(歳が近かったり、もう少しあたしが大人っぽく見えたらなぁ……)
ガクリ……と肩を落とした結衣は泣きたい気分で、暖かなミルクティーを口にする。
「しっかし、ナル坊もこんなときくらいファイル手放しゃいーのになぁ」
「だってナルだもん」
「仕事人間だからね」
「そうそう。そのナルがよくこんな仕事OKしたよな」
「ねーっ。そう思うでしょ!?」
「あたし達も驚いてたんだよぉ!」
楽しげに会話している三人を、真砂子は笑みを浮かべながら見守っていた。
ナルはというと興味なさげにファイルへと視線を向けている。
「──麻衣たち、話がはずんでいるようですわね」
「そんなことより、原さん。例の現象がおこる特定の場所などはないんですか」
「そういう話はきいてませんわ。撮影場所がここだというくらいで」