第3章 公園の怪談!?
「でも、信じられないよね。カップルだけをねらった霊現象なんて」
そう、今回の調査の内容は『カップルだけをねらった霊現象』である。
ドマラの撮影が妨害されるのはきまって、ラブシーンを撮影しているときだけらしい。
「変わった霊現象もあるもんだねぇ」
「まさに水をさすってヤツですな」
「「うまーい!」」
法生の言葉に双子がケラケラと笑っている中、ナルだけはとてつもなく不機嫌だった。
「まだ、霊現象ときまったわけじゃない」
「それを、これから調査するってんだろ?」
「問題はそこですわ。特定の条件下でしかおこらない現象ですもの。ひきおこすにはちょっとした作戦が必要ですわね」
「作戦〜?」
「どんな作戦をするの?」
結衣が質問すると、真砂子は花が綻ぶかのように微笑んだ。
「かんたんなことですわよ。オトリを用意すればいいんでもすの」
「……オ……」
「オトリ……」
「あたくしたちなら、ちょうど二人組のオトリができますわね」
「二人組っていうけど、1人あまるよ?」
「あら、そこは1人に二人の女性がつけばいいんですよ。3人のうち、どちらか二人はカップルに見えると思いますわ」
「ぼくはごめんです。なにか、ほかの……」
「ね、ナル?」
にっこりと微笑む真砂子に、ナルは言葉を詰まらせた。
一方双子は、この作戦有りなのでは……と考えていた。
麻衣はナルとデート出来るチャンスと思い、結衣は法生とオトリという名のデートが出来るかもしれないと思っていたのである。
「よーし、のった!」
「その作戦でいこう!」
そして…………
「いやぁ……目立つねぇ」
オトリ作戦が決行されたのだが、ナルの相手は真砂子だった。
美男美女のカップル(オトリ)に公園に来ていた通行人たちは、彼女たちへと視線を向けている。
一方、残りの三人は少し離れた場所でいた。
麻衣以外の二人はのんびりと、飲み物を飲みながら太陽の温かさに目を細めている。
(真砂子、もしかしてこれが狙いだったりして……)
ちらりと、結衣は法生の向こう側にいる麻衣を見る。
彼女はおっかない表情でナルと真砂子を見ていた。
「おいおい、おっかないカオしてんなー。ナルと真砂子がどーかしたか?」
「やややや、べべ、べつにっ」