第3章 公園の怪談!?
「撮影場所を変えるか、撮影自体を中止することをおすすめしますね」
「そうもいかないらしいんですの。脚本上の問題や、主演アイドルのプロダクションとのかねあいもあるらしくて」
「ぼくの知ったことじゃない」
キッパリとナルは言ってしまった。
どうにもその事件はナルのお眼鏡にかかるものではないらしい。
だいたい、ナルは事務所にくる依頼人をほとんど返している。
気が向かないとかではなく、単に気になる事件では無いことや本人の気の所為のものとかがあるかららしい。
「あたくし、その方にはお世話になっていてなんとかしてさしあげたいの。力をかしていただけません?」
真砂子はお淑やかにそう聞く。
だがナルは相変わらず不機嫌そうにしていて、結衣と麻衣はハラハラした気持ちで二人を交互に見た。
(ナルの機嫌、相当悪いなあ……)
だが、真砂子はにっこりと微笑むだけ。
「もちろん、調査料金はその方が払うとおっしゃってますわ。お願いできませんかしら」
双子は無理だと思った。
ナルはお金で動くような人間では無いし、興味のない仕事には見向きもしないのだから……と思った時である。
「……場所はどこです?」
なんと、ナルは行く気になったらしい。
その事に双子たちは目玉が飛び出すのではないか……というぐらいに目を見開かせた。
(な、なんで!?いつもだったら、この手の依頼は断るのに!?)
双子は混乱していたが、あれよとあれよと調査することに。
「──ほんで、ここがその場所なわけね。ほんとうに霊なんかいんのかよ……」
問題の場所はのどかな、近所の人々が使う公園。
いかにも出る……という言った場所ではない。
「こんなとこで除霊かますのやだなあ、おれ……」
今回協力してくれるのは、滝川法生。
軽薄な見た目をしているが、本物のお坊さんである。
そして現在進行形で結衣が思いを寄せている人物。
「真砂子ちゃん、なにか感じない?」
「ええ、なんとなく……かすかに気配を感じますけれど、とくに害のあるものはなにも」
「ところで、呼ばれたわけはわかったけど、ほんとなのかよ、それ?」
「らしいですわ。被害にあったのは、きまってそういうシーンの撮影中だそうですし」