第3章 公園の怪談!?
「でもさ、ナルってちょっとというか……まぁ、なんか変わってるよね」
「あ〜、わかる。今日もまた地図広げてたよ」
「なんだっけ?瞑想だっけ」
ナルは所長室にほとんど篭っている。
そこで何をしているのかというと、たいてい地図を広げて瞑想をしているらしい。
そしてたまに旅行に行く。
京都などにいくが、お土産はもちろんなければ観光をしてきた様子もない。
「よく考えると、ナルって謎が多いよね」
「確かに」
学校には行ってない様子。
そして基本的に何時も本を読んでいるが、それは横文字だらけのもので、恐らく英語。
しかも仕事関係……つまり、心霊関係の書物だ。
だがテレビや映画や音楽には一切興味がない。
謎が多い人物である。
「でもさ、謎が多いのってナルだけじゃないよね。リンさんも謎が多い」
結衣がそう小声で話した時、機材室からリンが現れた。
「あっ、リンさん。あの、お茶いれましょーか?」
「けっこうです」
黒髪、長身の男性の名はリン。
彼もまた謎多き人物であり、双子は彼の呼び名が『リン』であり、ナルの助手としか知らない。
「……あ──、あの……」
基本的は無言、無表情。
そんなリンは双子たちを気にする素振りもせず、何かを手に取るとそのまま無言で機材室に戻った。
彼はほとんど機材室から出てくることはない。
「あたし、半年ここにいるけどほとんどリンさんと話したことない。今日もまだ話してないよ……というか、会ったの2回だけ」
「確かに……あっ、でも。きょうは朝といまと2回しゃべったよ!」
「……朝のはぶつかって謝られただけじゃん?」
結衣の言葉に、麻衣は項垂れた。
「というか、この事務所でここにいるのってあたしと麻衣だけだよねぇ。ナルもリンさんも篭ってでてこないもん」
そう、ナルとリンは基本的に部屋からでてこない。
だから応接コーナーは双子がいるだけである。
なんという事務所なのだろう……と結衣がため息を吐いた時であった。
「こんにちは」
鈴を転がしたような、可憐な声が聞こえた。
聞き覚えのある声に双子は揃って振り返ると、そこには真砂子の姿。
「真砂子!」
「あれ、真砂子だー!おひさしぶりー」
「ひっさしぶり……」
「ナル、いらっしゃいます?」