第3章 公園の怪談!?
ー東京 渋谷ー
夏が過ぎ、秋を迎えた時期。
吹く風は冷んやりとしていて、長袖の時期になってきた。
そんな中、双子の谷山結衣と麻衣はバイト先で掃除を行っていた。
「はー。さすがにもう風が冷たいなあ」
「もう冬が近いねえ」
双子がこの『渋谷サイキック・リサーチ』にバイトとして入ってから半年が経っていた。
通称『SPR』の渋谷心霊現象調査事務所。
そこは名前の通りに心霊現象という疑惑のあるものを調査する場所。
双子はそんな珍しい所でバイトをしていた。
「掃除おわーり!手が冷たいねえ、麻衣」
「ホントだねぇ」
双子がバイトを始めたきっかけは、彼女たちの高校にある旧校舎に幽霊が出るという噂があったのを事務所の所長が調べに来たことが始まり。
それ以来悪霊に取り憑かれた人形の事件を解決したりとするが、事件がない日は基本的は事務所で雑務が多い。
「麻衣、結衣、お茶」
「はいはーい」
「はーい」
所長室から顔を出した少年の名は、渋谷一也。
彼女たちの上司であり、またこの事務所の若き所長である。
あだ名はそのナルシストぷりからナルとなっている。
「今日はあたしが淹れるね」
「はーい」
双子はそれぞれ、順番で所長にお茶を淹れる。
そして淹れた方が所長室にお茶を運ぶという仕事を、順番で行っていた。
麻衣は紅茶をてきぱきと淹れると、所長室へと運んでいく。
そんな双子の妹を見ながら、今日も怒りながら出てくるんだろうなあと結衣はのほほんとしながらデスクの椅子に座る。
(なにせ、ナルはお茶を淹れてもお礼の一つも言わない)
最初は結衣も怒っていた。
だが半年もこの仕事をしていれば、怒りも徐々に消えた。
「ったくもー!たまにはありがとうぐらいえっての!」
「やっぱり」
「なにさ、やっぱりって」
「今日も怒りながら出てくると思ってたよ、妹よ」
「だってさ!そりゃ、お茶いれるのもあたしの仕事だけどさっ、ヒトがこんなに、こ〜〜んなに、こころをこめていれとんのがわからんのかいってなるんだよ!」
所長室から出てきた麻衣は、肩をいからせて出てくる。
そんな麻衣に結衣は面白げに笑っていた。