第10章 ハロウィンの大惨事
大理石の階段を上ると、3人はついに堪えていた笑いを解放し、思い切り声を上げた。
「見たか?あのマルフォイの顔、完全にチユにビビってたよ!」ロンが肩を震わせ、声を上げて笑う。
「ねぇ、さっき言ってたエバネスコって、何?」
ハリーが興味津々に尋ねた。
「ああ、あれはね――」
チユが言いかけた瞬間、背後からハーマイオニー・グレンジャーが現れ、話を遮った。
「"消失呪文"よ、かなり高度で普通魔法レベルで教えられる呪文の中でもっとも複雑なものの1つね」
グレンジャーは得意げにその知識を披露し、わざとらしく胸を張った。
「君には聞いてないよ」ハリーが冷たく返す。
「僕達とは口を聞かないんじゃなかったの?」
ロンが茶化すように言ったが、グレンジャーは無視して続けた。
「あなた達が呪文の話をしてたからよ。まさか使いたいなんて思ってないでしょうね?」
グレンジャーは挑戦的に、チユを見ながら言った
「あなたには関係ないよ」
チユが冷ややかな口調で一蹴すると、グレンジャーはむっとして一歩後ろに下がった。
「ふん、1年生に使えるわけないでしょ」
「じゃあ、その重たそうな教科書でも消してあげようか?」グレンジャーの両手に抱えられた教科書を指してチユがニヤリと笑う。
その言葉に、ロンとハリーが吹き出した。
「きっと楽になるだろうね」
ロンが後ろからからかうように加えた。
グレンジャーは顔を赤らめ、ぷいっとそっぽを向いて足早に行ってしまった。
3人はその後ろ姿を見送りながら、さらに大きな声で笑い合った。