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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第18章 目覚めの光



キングズ・クロス駅の『9と4分の3番線』へ到着した。

改札では、しわくちゃの駅員が1人ずつ順番に生徒を外に送り出していた。

マグルに見られないようにするためだというのは分かっていたけど、なんだか夢から少しずつ覚めていくみたいで、チユは静かにため息をついた。


「3人共、夏休みに泊まりにおいでよ。ふくろう便、送るから!」とロンが言った。

「ありがとう。僕も楽しみに待っていられるようなものが何かなくちゃ.....」とハリーが言った。

「ありがとう、手紙楽しみに待ってるね」


スーツケースの持ち手をぎゅっと握りながら、チユは3人人に笑いかけた。
自分にはもう、ここに帰ってくる理由がある――そう思えるようになったのが、何より嬉しかった。


そんな時、背後から聞き慣れた声がした。


「おーい、チユ!」


振り返ると、荷物を片手にしたフレッドとジョージが駆け寄ってきた。ふたりとも、相変わらずの茶目っ気たっぷりの笑顔を浮かべている。


「姫とお別れだなんて……我ら双子の心が裂けそうだよ」とフレッド。

「今ここで泣いたら、駅が水浸しになっちゃうぞ」とジョージも続ける。


「もう、大げさだよ。またすぐ会えるってば。ロンがね、家に泊まりに来ていいって誘ってくれたの」


チユは恥ずかしそうに首をすくめる。でも、どこか嬉しそうに笑った。


「さっすがロニー、手が早いぜ」とフレッドがにやりと笑う。

「絶対来てくれよ、ママがきっと喜ぶ。あと、俺らもな」



「ああ、特にジョージが大喜びだ」
フレッドが肩をすくめると、ジョージがむっとして兄を小突いた。


「ありがとう、ふたりとも」

チユがクスクスと笑うと、ふたりの表情も少しやわらかくなった。



「じゃあ、またね。手紙、ちゃんと返してね?」


「もちろん! 姫からの手紙なんて、嬉しすぎて毎日抱きしめて眠るさ」

「おやすみのキスも、忘れずにな」とジョージがウィンクする。



2人が手を振って、チユも小さく手を振り返す。

最後に、もう一度ホグワーツの仲間たちの顔を思い浮かべた。


たくさんの出会いと、魔法に満ちた1年。


また来学期、この世界に帰ってこられるように。
今度は、もっと自分のことを好きになって。

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