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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第10章 ハロウィンの大惨事



玄関ホールを抜ける途中、まるで待ち伏せしていたかのようにクラップとゴイルが道を塞いだ。
そして、マルフォイがハリーの包みを引ったくる。


「箒じゃないか」マルフォイがにやりとした。


その瞬間、チユはすぐに杖を抜き、マルフォイに向けて構えた。しかし、マルフォイは意地悪そうに笑い、挑発的な言葉を投げかけた。


「いいのかい? 僕を傷つければ君は退学処分かもしれないよ。教師たちも、悪い噂ばかりの君を追い出したいと思ってるだろうね」


確かに、退学処分は避けたい。

何より、誰かを傷つけてしまったことをリーマスが知れば深く悲しむだろう。先日もホグワーツ特急で戦闘呪文を使ったことで、マクゴナガル先生に注意を受けたばかりだ。

あの時は「まだ入学前だから」という理由で大事にはならなかったが――。


「なら、あなたたちが告げ口をする前にエバネスコで消してしまえば良い」


「1年生が使えるわけないだろ?」マルフォイが鼻を鳴らすと、チユが不敵に笑った。


「試してみる?」


その瞬間、マルフォイは少したじろいだ。


「君は愚かだね。僕と一緒にいれば、酷い噂も無くなるというのに。それに、何かあっても父上に掛け合ってやろう、君には僕が必要だよ」


マルフォイはそう言って手を差し出してきたが、チユはそれを払いのけた。


「いいや、間に合ってるよ。あなたには教養が必要なんじゃない?」と、チユは冷ややかな口調で返す。

その言葉を聞いたロンとハリーは、声を殺して笑い出した。マルフォイはさらに強がったように言った。「君はまだわかっていないんだ」

「いつまでそのお友達ごっこが続くかな?いよいよ終わりだぞ、1年生は箒を持っちゃいけないんだ」と言って包みを投げ返した。

「ただの箒じゃない、ニンバス2000だ。君の家にあるのは、コメット260かい?」

ロンが挑発的に言い返すと、マルフォイは「君は柄の半分も買えないだろ。兄貴たちと一緒に小枝を一本ずつ貯めなきゃいけないくせに」と、冷笑しながら答えた。


その時、フリットウィック先生が現れた。


「君たち、言い争いかい?」

「ポッターが箒を持っているんです!」マルフォイが叫んだ。

「ああ、そうらしいね。マクゴナガル先生が特別措置を取ったとか」

マルフォイの引き攣った顔を見て、3人は笑いを押し殺しながら階段を上がった。
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