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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第9章 眠れないお姫様



ジョージは目を覚まし、ぼんやりと視界を整えると、隣でぐっすりと眠っているフレッドとチユの姿を見つけた。


ホグワーツに来てから、日に日にやつれていくチユを、フレッドとジョージは心配していた。

毎食、無理にでも食事を取らせようとしたり、廊下で見かけるたびに冗談を言って笑わせようとしたり――それでも、チユの無理をしているような笑顔に、どこか空しさを感じることが多かった。


ジョージは正直、この『お姫様寝かしつけ大作戦』も失敗するかと思っていたが、今こうして眠るチユの顔を見て、少しだけほっとした息をついた。


金色の髪が枕の上でさらりと広がり、まるで朝の光に輝くようにキラキラと輝く。
白い陶器のような滑らかな肌に、薄紅色の唇が今はやわらかな微笑みを浮かべているように見える。

その姿は、まるで精巧に作られた人形のようで、手を伸ばせば壊れてしまいそうなほど儚げだ。ジョージは思わず息を呑んだ。


その時、フレッドも目を覚まし、だるそうに伸びをしながら、寝ぼけた声で言った。


「んー、おはよう。やったな、作戦成功みたいだな」


ジョージは普段の冗談っぽい口調ではなく、少し静かな声で答えた。「本当に良かった、ぐっすり寝てるよ」

「こんなに可愛らしく寝てる姿...記念に写真でも撮っておくべきだったな」フレッドがにやりと笑った。

「お姫様の秘密の寝顔、5シックル払えば見せてあげますってビジネスができたのに」

「ちょいと安すぎないか?マルフォイの坊ちゃんなら10ガリオンでも払うだろうよ」
ジョージは小声で笑いながら、フレッドの腕を軽くはたいた。


しかし、その目はチユから離れない。「...まあ、確かに可愛いよな」 ジョージはチユの頭を愛おしげに撫でると、優しく言った。


その仕草はまるで、宝物を愛でるかのようだった。


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