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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第8章 翼を得た少女




「ハリー、マルフォイなんかこてんぱんにやっつけて、二度と生意気な口がきけないようにしちゃえ」


チユはそう言うと、少しニヤリと笑った。
心の中では、マルフォイが後悔する姿を想像して楽しんでいたが、外面は冷静を装っていた。


「あれ、さっきまで反対してたのに?」


ハリーが驚いたように言うと、チユは肩をすくめて言った。


「気が変わったの、私もマルフォイのことは嫌いだし」


「いや、君が1番嫌いなのはハーマイオニーだろ」


「そうだね、2人とも大嫌いだよ」


チユはそれを冗談のように話したが、心の中では、まさにその通りだと感じていた。
グレンジャーの真面目すぎるところも、どこか突き放したような態度も、どうにも腹立たしいのだ。
そして、マルフォイは言うまでもなく嫌な奴だ。


談話室に戻ると、チユはハリーに呪いを防ぐ方法や、簡単な呪文を教えた。が、やはりハリーはすぐには覚えられないようで、困った顔をしていた。


「もし呪いをかけられたら、身を交わせばいいんだよ。」ロンがのんきに言う。

「魔法使いの決闘だよ?それじゃまるでマグル同士のどつき合いと変わらないじゃない」


チユは呆れながらも、ロンのあまりにも単純なアドバイスに苦笑いを浮かべる。
呪文の扱いにこだわりがある彼女にとって、魔法使いの決闘はただの喧嘩ではない。
少なくとも、杖を使って魔法を戦わせるべきだと思っているのだ。


それからしばらくして、ハリーとロンは自室に戻ると言った。

「2人共、頑張ってね」チユは少し励ますように言った。

「うん、チユこそ」ハリーが微笑んで答えると、ロンも続けて「生きて会おう!」と、何だかとんでもないことを言って去って行った。


チユはその言葉に苦笑いを浮かべながら、少しだけ目を細めて彼らを見送った。
彼らの背中を見送りながら、心の中で、もし彼らが本当に決闘をすることになったらどうなるのか、少し興味が湧いてきたのだった。


けれど、すぐに思い直す。双子の約束を破ると、後が怖い。


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