第8章 翼を得た少女
「全く、ここじゃ落ち着いて食べる事もできないんですかね?」
ロンは愚痴をこぼしながらパイを口に押し込んだが、その言葉をグレンジャーはまったく無視して、ハリーに話しかけた。
「聞くつもりはなかったんだけど、あなた達の会話が聞こえちゃったの。」
「聞くつもりが無いなら、耳を塞いでいたら?」」
チユが小声で呟いたが、ハーマイオニーはまたもやそれを無視した。まるで、ハリーしか見えていないかのように。
「夜、校内をウロウロしてはいけないわよ。もし捕まったら、グリフィンドールがどれだけ減点されるか、考えたことある?本当に、自分勝手なんだから」
「大きなお世話だよ」
ハリーが軽く言い返すと、すかさずロンが「バイバイ」と余裕を見せながら付け加えトドメを刺した。
すぐに席を立ち、さっさとその場を去ろうとする。
その後ろで、チユはわざと大きく息をついて、からかうように言った。
「素直に従うほど私たちお利口さんじゃないもんね」
その言葉に、ロンが振り返りながらニヤリと笑う。
グレンジャーが言うことは、確かに正しい。
しかし、なぜか彼女が言うと、いつも苛立ってしてしまうのはなぜだろうか。