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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第8章 翼を得た少女




「魔法使いの決闘ってなに?介添人って?」


「介添人っていうのは、君が死んだら代わりに僕が戦うという意味さ」


ロンは食べかけのパイを口に入れながら、まるで何でもないことのように気軽に答えた。
ロンがあまりにも無邪気なので、おかげでチユは思わず口元に笑みを浮かべそうになる。



「ね、ねぇやっぱり君が……」



ハリーは、青ざめた顔でチユに視線を向けたが、彼女はちらりと一瞥をくれると、無言でそっぽを向いた。



「もう代わってあげない、フレッドとジョージに呼ばれて居るし。それに2人共痛い目に合ってこんな馬鹿げた決闘を引き受けた事を後悔すればいいんだ」


そんな事は言ったが、チユは2人が怪我を負うような事は無いという確信があった。

マルフォイもハリーも、相手に本気でダメージを与えるような魔法なんて使えるわけがないからだ。
もし万が一、怪我をしたとしても、医務室に行けば大丈夫だろう。校医のマダム・ポンフリーは、どんな傷でも治せるという噂だ。



「大丈夫だよ、君たちならせいぜい火花をぶつけ合う程度だろう」


ロンが、さらに軽い調子で続ける。


「杖なんか捨てて、鼻にパンチを喰らわせろ」


もし本当にそれをやったら、後でクラップとゴイルに殴られて、結果的にもっと酷い目に遭うだろう。
だが、ロンはまったくその可能性を考えない。
まったく、危なっかしいなと心の中で苦笑しながら呆れて何も言わなかった。


その時、不意に足音が響き、視界に現れたのは、まさに今、最も会いたくない顔だった。


「ちょっと失礼」


それは、ハーマイオニー・グレンジャーだった。
彼女が現れると、チユは思わず身構えた。



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