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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第8章 翼を得た少女




その時、マルフォイがニヤリと笑いながら近づいてきた。クラップとゴイルを従え、まるで自信満々な歩き方でチユたちの前に立った。


「ポッター、最後の食事かい?汽車にはいつ乗るんだ?」


チユが言い返す前に、ハリーが先に口を開いた。
「地上ではやけに元気だな。小さなお友達も一緒にいるみたいだし」


マルフォイは不敵な笑みを浮かべながら、両腕を広げて威圧的に言った。
「僕1人でいつだって相手になろうじゃないか。ご所望なら今夜だっていい、魔法使いの決闘だ」


「へぇ、面白そうだね?」


チユは口の端をにやりと上げ、わざと気味悪く笑ってみせると、3人組はその笑顔に少し身を引いた。

マルフォイの仲間は、彼女が放った一撃で一度吹き飛ばされた過去を思い出し、少し警戒心を強めたようだった。


「女に守ってもらうなんて恥ずかしくないのか、ポッター?」

マルフォイの言葉に、ハリーは一瞬黙り込むが、すぐに決意を固めたように答える。


「…ああ、僕が受けて立つよ」


「ハリー!?」


チユが驚きの声を上げると、ハリーは苦笑いを浮かべながらも、決闘を受ける覚悟を見せた。
まともに呪文も習っていないハリーが魔法使いの決闘になんて勝てる筈が無い。


「僕が介添人をする。お前のは誰だい?」

「ロンまで…」チユは呆れたように眉をひそめ、思わずため息をついた。

「グラップだ。真夜中でいいな?場所はトロフィー室にしよう。いつも鍵があいてるんでね」


マルフォイが言い終わると、クラップとゴイルは不気味に笑いながら、彼の後ろに続いて歩き出す。


そして、振り返りながらマルフォイは冷たく言い放った。

「お楽しみに、ポッター。今夜、君を待ってるよ」


その言葉を残し、マルフォイたちは去って行った。

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