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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第8章 翼を得た少女




「まさか、シーカーだって?でも、1年生は絶対ダメだって言われてたのに…それなら、君は最年少の寮代表選手だよ!」

「100年ぶりだって。ウッドがそう言ってたよ」


お腹が空いていたのか、ハリーはパイをがっついて口に詰めている。ロンは目を丸くして、ただただハリーを感動しきりに見つめるばかりだった。


「すごいな、ハリー!流石は英雄だ!」
「俺達も選手だよ!ポジションはビーターだ!」


ビーターというポジションが分からず首を傾げるチユに、双子が活き活きと交互に説明し始めた。


「簡単に言うとな」フレッドが言った。
「俺達は凶暴な鉄の玉を」ジョージが続け、

「棍棒でバァーンと打って!」
フレッドが棍棒を振る真似をする。

「相手チームの選手をドカーンと吹き飛ばすんだ!」
ジョージが飛んでいく相手の真似をして見せた。


チユは思わず笑いながら納得した。だからこそ、ジョージには自分を簡単に抱えられるほどの腕力があるのだと。


「今年のクィディッチカップは頂きだな!」
「チャーリーがいなくなってから、1回も取ってないんだよな」ジョージがため息をつく。

「でも今年は違う!ウッド船長が発狂するほど練習させるからな!」


2人は同時に立ち上がり、勝利のポーズを取りながら大笑いした。


「さーて俺達、そろそろ行かないと。リーが見つけた秘密の抜け道があるらしいんだ」
フレッドが腕時計を見るふりをする。

「俺達が最初の週に見つけちまったやつだと思うけどね。じゃ、またな」


2人は同時に席を立つと、何かを思い出したかのように振り返り、お互いに目を合わせてニヤリと笑った。
その動きはまるで最初から決まっていたかのように息ぴったりだった。


「おっと、姫は今日、談話室で待っててくれよ?」
「そうだ、そうだ。まだ1度しか言うこと聞いてもらってないからね」


「無害だって約束するよ!」
「…たぶんね!」と同時に付け加えて、爆笑しながら廊下を駆け出していった。​​​​​​​​​​​​​​​​


ああ、そうだ。これからあの双子の実験台にされるのだった。



「2人共、私の命が無事であることを祈っててね」
「ああ…心底同情するよ…」


訳を知らないハリーが、首をかしげながら困惑している。

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