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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第8章 翼を得た少女



グリフィンドールのテーブルに着いたが、ハリーのことで心配なのか、普段ならリスのように食べ物を口に詰め込んでいるはずのロンも、あまり食が進んでいないようだった。


「おやおや、お姫様にロニー坊や、どうしたんだい?」
フレッドがからかうように言った。

「そうだぜ、せっかくの可愛らしい顔が台無しだぞ?」
ジョージが続けて、冗談交じりに言う。


双子はチユを挟む形で隣りにドカッと座った。
相変わらず、見分けがつかないぐらいそっくりな顔をしている。


「ほら、もっと食べろよ!」
ジョージがチユの皿にフライドポテトやローストビーフを山のように盛りつける。

「こんなに食べられないよ…!」
チユは困り顔で言ったが、ジョージはニヤリと笑って言った。

「だって、今日は言うことを聞く日だろ? いつも全然食べないから、こっちはマジで心配してんだよ!」

「もし倒れたら、誰が俺たちの商品テスターになるんだ?」フレッドが続けた。


チユは苦笑いを浮かべて、結局その料理を少しずつ食べることにした。このお節介も、彼らなりの優しさの表れだと感じながら。


「ロン! チユ!」


突然、名前を呼ばれ顔を上げると、ハリーが笑顔で駆け寄ってきた。
その明るい様子に、チユは思わず安堵の息を漏らした。どうやら退学処分は免れたらしい。それどころか、嬉しそうに身体を跳ねさせている。


「ハリー、大丈夫なの!?」 チユは急いで立ち上がり、心配そうに問いかけた。


「うん、聞いてよ!」 ハリーは息を弾ませながら、手を広げて興奮気味に話し始めた。「僕、クィディッチの選手に選ばれちゃったんだ!」


「えっ、クィディッチ!?」 ロンも目を丸くして驚く。


「そうなんだ! それで、マクゴナガル先生が僕をオリバー・ウッドに紹介して、グリフィンドールのシーカーに選ばれたんだ!」 ハリーはその話を嬉しそうに続け、胸を張っていた。


「すごいよハリー! おめでとう!」 チユは笑顔で言い、ハリーの肩を軽く叩いた。



とはいえ、チユはクィディッチについて全く知識がなかったので、ハリーが何に選ばれたのか、正直よく理解していなかった。でも、ハリーが嬉しそうに話す姿を見て、自然と自分まで嬉しくなった。


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