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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第8章 翼を得た少女



2人の間にあたたかい空気が流れ始める。
チユは心の中で少し安心した。ゼロとの会話が、思った以上に心地よいものだったからだ。
それは、リーマスと一緒にいる時に感じるような、落ち着いた安心感に似ていた。

「体調は大丈夫?」

「俺のことは気にしないで。毎月こうなるんだ」


「毎月…?」チユは思わず言葉を続けようとしたが、ゼロがその視線を少し逸らして、「慣れてるから大丈夫」と言った。

チユはその言葉に違和感を覚えたものの、彼が話したがらないことを無理に聞き出すのもいけないと思い、深くは追求しなかった。代わりに、少し間を置いて言った。

「そうなんだ。でも、無理しないでね」


ゼロは、微かに微笑んだ。「ありがとう、チユ」

彼との距離はまだ少し遠いけれど、少なくとも初めて話してみたことで、少しだけお互いを理解できた気がした。


彼への感情が本当に恋心かどうかはまだ分からないが、ハリーたちとの関係とは何かが違う。
それだけは確信をもって言える。

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