第8章 翼を得た少女
2人の間にあたたかい空気が流れ始める。
チユは心の中で少し安心した。ゼロとの会話が、思った以上に心地よいものだったからだ。
それは、リーマスと一緒にいる時に感じるような、落ち着いた安心感に似ていた。
「体調は大丈夫?」
「俺のことは気にしないで。毎月こうなるんだ」
「毎月…?」チユは思わず言葉を続けようとしたが、ゼロがその視線を少し逸らして、「慣れてるから大丈夫」と言った。
チユはその言葉に違和感を覚えたものの、彼が話したがらないことを無理に聞き出すのもいけないと思い、深くは追求しなかった。代わりに、少し間を置いて言った。
「そうなんだ。でも、無理しないでね」
ゼロは、微かに微笑んだ。「ありがとう、チユ」
彼との距離はまだ少し遠いけれど、少なくとも初めて話してみたことで、少しだけお互いを理解できた気がした。
彼への感情が本当に恋心かどうかはまだ分からないが、ハリーたちとの関係とは何かが違う。
それだけは確信をもって言える。