第8章 翼を得た少女
すっかり体調が回復したチユは、談話室へと向かって歩き出した。その途中、青ざめた顔をしたロンを見かけて足を止める。
「ねぇ、どうしたの?」
「チユ!?君大丈夫だったのかい?」
「うん無傷だよ、もう二度と箒になんか乗りたくはないけど……ところでハリーは?」
「あ、ああ…それなんだけどネビルの思い出し玉をマルフォイが奪ったんだ、それをハリーが箒に乗って追いかけて取り返した所をマクゴナガルに見つかって」
ロンは焦った様子で説明した。思い出し玉といえば、今朝ネビルの祖母からネビル宛に贈られてきたばかりのものだ。
それを奪うなんて、本当にマルフォイには呆れる。
ハリーが退学になるかもしれないと狼狽えるロンの肩を軽く叩きながら、チユは言った。
「もし退学なんて事になったら私達で抗議しよう、事情を説明すれはマクゴナガル先生もわかってくれるよ」
「うん……そうだよね…」
ロンにそう言ったものの、あの厳格なマクゴナガル先生のことだ。事情がどうあれ、禁止されていた箒に乗ったことを快く許すとは思えなかった。
チユも不安な気持ちを抱えたまま、ロンと一緒に談話室へと向かった。