第7章 打ちひしがれた願い
「ポッター、彼が失敗すれば、自分が良く見られるとでも考えたのか?」
スネイプは冷たく言い放ち、ネビルの隣で作業していたハリーに続けて言った。「グリフィンドールから、もう1点減点だ」
あまりにも理不尽な言葉だったが、ハリーは口答えしても無駄だと思い、必死に堪えた。
授業が終わり、地下牢を出ると、ようやくハリーは我慢していた怒りを爆発させた。
「もう、信じられない!」
ハリーは拳を握りしめて叫んだ。ロンがすかさず声をかける。
「気にするなよ、フレッドとジョージも、スネイプには毎回減点されてるらしいよ」
ロンの言葉には、ちょっとした励ましの意図があったが、ハリーにはなんの慰めにもならなかった。
その隣で、チユはスネイプに叱られ、失敗してしまった自分にすっかり自信を無くしていた。
杖を使わない授業はどれも苦手だ。
「簡単なおできを治す薬すらうまく調合できないのに、脱狼薬なんて絶対無理だよ…」と心の中で呟く。
正直、この後のハグリッドとのお茶をやめて、図書室で魔法薬について勉強したいと思ったが、すでに行くと返事をしてしまったので、3人でハグリッドの家に向かった。
「来年になれば教師がもしかしたら変わるかも、それに上級生になれば選択授業だから魔法薬学に出なくて済むかもしれないよ」ロンが気を使って言った。
「上級生になっても魔法薬学は取るよ。スネイプが先生でもね」
チユは真剣な顔をして言った。
「珍しい、チユがそんなに真面目だなんて」
「私はいつでも真面目だよ!」
チユは顔を赤くして反論したが、ロンが笑いながら言う。
「この前、薬草学の授業で立ったまま寝てたっていうのに?」
「チユが魔法史の授業で目を開けてる所を見たことがないよ」と、ハリーも茶化すように続けた。
そんな風に冗談を言い合いながら歩いていると、ついにハグリッドの家の前に到着した。
ハグリッドの家は、立ち入り禁止とされている『禁じられた森』のすぐ側で、その見た目は家というより小屋と呼ぶのが相応しい。
ハリーが扉を叩くと、扉が少し開きハグリッドが現れた。
「下がれ、ファング!」
ファングと呼ばれる大型犬はチユに向かって勢いよく吠える。どうやらバロンといいファングといい、動物には好かれないようだ。
ハグリッドはファングを頑張って抑え、3人を招き入れた。
