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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第7章 打ちひしがれた願い





スネイプはまず出席を取った
そして、ハリーの名前で止まり「あぁ、ハリー・ポッター。我らが新しいスターだ」猫なで声で言った。


マルフォイと仲間のクラップ、ゴイルが冷やかしたように笑うのでチユは鋭く睨み付ける。
3人はチユの目線に気づくと、吹き飛ばされたことがトラウマになっているのか、少し怯み、笑うのをやめた。


スネイプは出席を取り終えると、生徒を見渡した。
彼の黒い瞳には温かみはひとかけらも無く、冷たく虚ろで暗いトンネルの様だった。


「これから魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ」


そう呟くように話した。

「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君も多いかもしれん。ふつふつ沸く大釜、ゆらゆらと立ち昇る湯気、人の血管の中を這う液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……。
諸君がこの見事さを真に理解することは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である
ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであれば、の話だが」


大演説の後、教室はシーンと静まり返った。
するとスネイプは突然「ポッター!」と呼ぶ。


「アルフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」


ニガヨモギを煎じたものに加えると、眠り薬になる。とても強力な薬なので、『生ける屍の水薬』とも呼ばれている。
教科書や魔法薬に関する本を読み込んでいたチユはすぐに答えがわかった。


ハリーはチユをチラリと見て、助けを求めるような目を向けた。しかし、この静かな教室では耳打ちすることもできず、チユは困った様に眉根を釣り上げた。


「わかりません」


ハリーがそう言うとスネイプはせせら笑った。
グレンジャーが身を乗り出すように手を上げていたが、その手は無視された。

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