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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第7章 打ちひしがれた願い




「どうしてグリフィンドールにいるんだろうな」ロンが不思議そうにゼロの背中を見つめる。「あんな顔して、やっぱりスリザリンっぽいのに」

「外見で判断するなんて、酷いよ」とチユが軽く反論する。とはいえ、彼女自身も最初は彼がスリザリンに選ばれると思っていた。
赤いグリフィンドールのローブが、何だかしっくり来ない。


「彼、魅力的な人なのに、完全に孤立しているみたい」チユは少し心配そうに言った。

「そりゃ、グリフィンドールは居心地が悪いはずさ」

「グレインってそんなに有名なの?」ハリーが首を傾げた。


グレインの名前は、チユも聞いたことがある。
純血主義を掲げる歴史ある名家で、代々スリザリンに所属してきた一族だ。

『純血一族一覧』が公表される前、家系からスクイブが生まれたことが発覚。そのため、先祖にマグルの血が混ざっているのではないかと疑われ、結果として『聖28一族』から除外されてしまった。
それでも、魔法界における彼らの権力と財力は健在だった。

第一次魔法戦争では、闇陣営に加わり『死喰い人』として戦った。しかし、莫大な財力を使って無罪放免になったと噂されている。


ロンはハリーにグレイン家の歴史をそう説明した。


「要するに、すごくおっかない家ってことさ」ロンは腕を組んで付け加えた。


「うーん、でも、彼自身はそんなに悪い人には見えないけどね」チユは小さく首を傾げながら言う


ロンは意味ありげにチユを見て、「やけに興味を持ってるみたいだ、恋でもした?」と冗談めかして言った。


チユは黙り込んだ。確かに、初めて彼を見た時から気になっていた。夢にまで出てくるほどに。
これが恋というものなのだろうか。少し考えてから、彼女は素直に答えた。「…そうかもしれない」


ハリーとロンは驚いた表情を浮かべ、思わず顔を見合わせた。


その後、スネイプが教室に入って来た。先程までヒソヒソと話していた生徒はピタリと話をやめ、背筋を伸ばしている。

チユたちも同様に、お喋りをやめ、前を向いた。

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