第7章 打ちひしがれた願い
ハリー、ロン、チユの3人にとって金曜日は記念すべき日となった。
大広間に行くのに、初めて迷わずに辿り着けたからだ。もはや、この学び舎に少しずつ慣れてきたのだろう。
「今日、なんの授業だっけ?」
チユが紅茶を啜りながら、2人に尋ねる。
彼女はここ数日、ほとんど寝ておらず、顔色は日に日に悪化していた。瞳は生気を失い、より一層人形のようであった。
その姿は、スリザリンの生徒たちが言っていた通り、まさに『悪魔』のようだった。
「スリザリンの連中と一緒に『魔法薬学』だよ。」
ロンが眉を顰める。「そんなことより、君、酷い顔だぜ?眠れてないのか?」
チユはにっこりと微笑んで、冗談混じりに答えた。「酷い?美しいの間違いじゃない?」
その一言にハリーとロンはくすくすと笑った。
「あーあ、君の美しさでスネイプがひいきしてくれないかな」
「スネイプはスリザリンの寮監だから、いつもスリザリンをひいきしてるって言ってるよ」
「だったら、マクゴナガル先生も私達をひいきしてくれればいいのにね」
マクゴナガル先生はグリフィンドールの寮監だが、それでも毎度、山ほどの宿題を出すのをためらうことはなかった。
チユが紅茶をもう一杯注ごうとしたその時、バロンがハタハタと降りてきて、チユの前に一通の手紙を置いた。
彼女に手紙を出す人物はひとりしかいない。
急いで封を破って手紙を開ける。
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親愛なるチユへ
調子はどうだい?ホグワーツには慣れたかな?
私は変わらず元気にやっているよ。
君は繊細だから、また睡眠を取れていないんじゃないかと心配だよ。
食事もしっかり取ってくれ、とにかく無理だけはしないように。
また、元気な姿の君と再会できるのを楽しみにしているよ。
リーマス・J・ルーピン
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リーマスにはすべてお見通しのようだ。
だが、やつれていたリーマスの姿を思い出すと、彼にだけは言われたくないな、と思った。