第7章 打ちひしがれた願い
結局、夜明けまで布団を被り続けたが、眠ることはできなかった。
チユの心は重く、まるでどこかに引きずられているような感覚があった。どんなに目を閉じようとしても、昨日聞いた言葉が頭から離れなかった。
重い足取りで談話室まで降りると、ハリーとロンが心配そうに駆け寄ってきた。
「チユ!?大丈夫?」
「昨日来なかったけど、何かあったの!?」
チユはうつむきながら、小さな声で答えた。
「ごめん、ちょっと眠たくなっちゃって。ほら、昨日早起きだったでしょ?」
それを聞いたハリーとロンは安堵のため息をつき、少し顔を見合わせてから口を揃えた。「何も無いなら良かった…」と、ほっとした表情を見せた。
3人は広間で昨日のように朝食を取ったが、チユはもちろん食欲がなかった。
周りの視線が重く感じられ、食事に集中なんて出来ない。
それでも、これ以上心配をかけたくない一心で、お皿に盛ったオートミールを必死に平らげた。
彼女の容姿は、今日もまた周りの視線を集めている、生徒たちは無意識にチユをじっと見つめ、時折囁き合っていた。
それがどれほど辛いことか、わかる者は少ないだろう。
しかし、有名人であるハリーも同じような悩みを抱えていたため、2人はじろじろと他の生徒に見られる度にお互いに顔を見合わせ、苦笑いを交わした。
「そんなに見られるなんて、君たち、ちょっとしたスターだな」ロンが冗談交じりに言った。
「ハリーはともかく、私はスターっていうより展示物になった気分だよ」
チユは少し愚痴りながらも、ロンの冗談にはつい笑ってしまった。
その後、数日間にわたって授業が続いた。
噂はどんどん広がり、チユはますます周りから嫌悪の目で見られることが多くなったが、そのほとんどが、スリザリンの生徒たちであった。