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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第6章 黄金のグリフィン




監督生に続いて、大広間を出た。
廊下を通ると、壁にかかる肖像画が生徒たちに話しかける声がちらほらと聞こえたが、チユはその声に耳を貸さず、足早に下を向いて通り過ぎた。
あの奇妙な絵画たちが、まるで生きているかのように目を光らせているのが、何となく不気味だったからだ。


長い階段を上り、太った女性の肖像画の前にたどり着くと、パーシーが立ち止まった。


太った女性が「合言葉は?」と尋ねる。

「カプート・ドラコニス」

パーシーがそう答えると、肖像画がドアのように開き、後ろの壁の高い位置に丸い穴が現れ、その穴をよじ登る。

円形の部屋には暖炉があり、古ぼけたふかふかの肘掛け椅子や、古いテーブルがたくさん置かれていた。どうやらここがグリフィンドールの談話室のようだ。


「談話室に入るにはさっきの合言葉が必要なんだ。くれぐれも忘れないようにしてくれ」


ただでさえ、複雑に入り組んだ廊下や数多くの階段を覚えるのが大変なのに、さらに合言葉まで覚えなくちゃならないなんて、気が滅入る。


その後、パーシーに指示され、男子と女子はそれぞれの寮に分かれて行った。チユはハリーたちに手を振りながら、女子寮に続く階段を登った。ホグワーツの階段の多さは、体力の無いチユにはかなり堪えた。


「さあ、あなたの部屋はここよ」


他の生徒たちは4人で1部屋だが、チユは自分の羽を見られないようにという配慮から、ダンブルドアの好意で一人部屋を与えてもらった。


扉の前には「1年生」と書かれた表札があり、その下の『chiyu・clover』と書かれた張り紙が、どこか寂しげに感じられた。


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