第6章 黄金のグリフィン
「……っ痛!」
突然、隣に座っていたハリーが額を抑えて顔をしかめた。チユは驚いてすぐに彼の身体を支えた。
「ハリー、大丈夫?」
「うん…もう大丈夫みたい…」
そう言ったハリーの顔色は依然として悪く、チユはどうすればいいのか分からずに戸惑ったが、すぐにリーマスが教えてくれたことを思い出す。
チョコレートには心を落ち着ける効果がある、と。
チユは何も言わず、ただ黙ってケーキやチョコムースをハリーの皿に次々と盛りつけた。
これが彼女なりの精一杯の優しさだったけれど、どうやらハリーにはその意図が伝わらなかったらしく、彼はただ不思議そうに皿の上のデザートを見つめるばかりだった。
その後、デザートが並んだ大皿が空っぽになると、ダンブルドアが再び立ち上がり、注意事項を読み上げ始める。
内容は大変つまらないものだった。
構内の森には立ち入らないこと。
授業の合間に廊下で魔法を使わないこと。
そして、クディッチの予選があるから参加したい者はマダム・フーチに連絡して欲しい、と。
そして、ダンブルドアが少し言葉を区切ると、彼の口からとんでもないことが発せられた。
「とても痛い死に方をしたくない生徒は、今学期中はくれぐれも4階の廊下に入らないように」
チユはその言葉にハッと目を見開いた。4階の廊下に、いったい何があるのだろうか?
その後、ダンブルドアが校歌を歌って締めくくろうと言うので、生徒たちはそれぞれ好きなメロディーで歌い始めた。
チユはそのまま歌うどころか、ただただ眠気と戦っていた。重たくて開かない瞼を必死にこじ開けようとするが、どうしても勝てそうにない。
フレッドとジョージが最後に歌い終えると、ようやく長かった歓迎会は幕を閉じた。