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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【1】

第6章 黄金のグリフィン




「……いいえ、呼ぶのならばニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン、と。」

「ほとんど?どうして『ほとんど』なの?」

「それは、この通り」


ニックは自分の左耳を掴んで引っ張った。すると、頭がぐらっと外れ、首の皮一枚で繋がっているのが見えた。

その光景を見た生徒たちは、思わず小さく悲鳴を上げる。ニックはそんな反応に気を良くし、満足げに首を戻した。


「さてさて、新入生諸君。今年こそ寮対抗優勝カップを獲得できるように頑張って下さりますな?もう6年もの間スリザリンに奪われているのですから。諸君の活躍に期待しておりますぞ」


ニックは意気揚々と言い残し、スっと姿を消した。


先程、マクゴナガル先生にも説明されたが、チユは寮杯にはまったく興味がなかった。
そんなことよりも、食事中にあんなものを見せられて、元々なかった食欲が完全に失せてしまったことに苛立っていた。


生徒たちのお腹が膨れたところで、先程までの料理が消え、代わりに美味しそうなデザートが現れた。
キャロットケーキにカラフルなアイスクリーム、糖蜜タルトなど、色とりどりのデザートは見るだけで楽しくなる。


チユはその中でもチョコレートムースをお皿に乗せた。口に入れると、何だかリーマスのことを思い出し、暖かい気持ちが胸に広がった。



それから、皆は家族の話に花を咲かせた。


「僕はハーフだよ。父親がマグルで、母親が魔女なんだ」
シェーマスが薄い茶色の髪をかき上げながら言った。
孤児のチユと、両親と死別したハリーは、なんだか居心地が悪くなり、自然と教師陣が座る席に目を向けた。

マクゴナガル先生にダンブルドア、ハグリッド。
くしゃくしゃな白髪の小さな教師、土気色の顔に鉤鼻を持つ、いかにも性格が悪そうな黒い服を纏った教師。その隣では、紫色のターバンを巻いた教師が恐縮している。

害はなさそうに見えるのに、なぜかその教師を見ると、どうしても嫌な予感がした。



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